ヨガにおいてアーサナの探求的実践と
哲学的思想はコインの裏表で
その両面へのアプローチこそヨガの真理

だとグレゴール・メーレ氏は語っている。


僕らがこの肉体を借り物としている限り
時間を超越した先にある感覚と

その実践の先にある全てにおいて

満ち足りた感覚こそがヨガの真理である。

聖典「バガヴァッド・ギーター」には
「外見上は社会的義務を果たしつつ
内面的に自由である者がヨーギである」
と記されている。

詰まる所、実践は大切だけど

何よりも自らの社会的、人道的義務を

しっかりと果たしている事こそが

ヨギーには大切であると説いている。

紀元前3世紀に、聖人パタンジャリが

纏めた聖典「ヨーガ・スートラ」の中の

「八支則」には人道的義務として最も

重要な支則とされる禁戒(ヤーマ)と

勧戒(ニヤーマ)が細かく記されている。


それらをまるで意に介さず、ズサンな

環境下でヨガ講師を使い捨てに扱う

大手のヨガ企業や、親に生活を保証され

男に媚を売り、水商売とヨガを勘違い

しているようなヨギーニなどなど。

 

アーサナの探求的実践のみのヨガでは
心が生み出す6つの負の感情。

「欲望・怒り・貪欲・幻想・心酔・妬み」

からの開放は得られないとスートラに

語られているにも関わらず、資格や形に

囚われるヨガ講師や企業があまりに多い。


アメリカで数年前に、NYタイムスが
「ヨガがあなたの身体を破壊する」という

ショッキングな記事を掲載した事で

ヨガ業界に激震が走った事もある。


内容は以下となっている。


【ヨガが身体を破壊する要因】
・ヨガ講師の質の低下。

フィットネスやアーサナの美しさ重視など。
・もともとのヨガの意味を取り違えている。
・なれないムリな姿勢を長時間させられる。
指導を含め、緊張が強かったり、呼吸が

浅くなっていると更に危険となる。
・ヨガスタジオ(クラス)などで身体の

柔らかい人が周りにいると自分も出来るはず

だと競争心をむき出して無理をしてしまう。
・ヨガの先生は一度に大勢の生徒をみるので

きめ細やかな対応がなかなかできない。
・ビギナークラスにはビギナーの人以外

上級者でも参加できるのでビギナーの人が

精神的に追い込まれてしまう。
・指導者がグループレッスン指導しか

受けておらず、個人の身体の動きに関する

十分な知識が不足している。
・ポーズの補正(アジャスト)の安全な

方法を知らない。

実際にヨガ人口が増加した事により

都内でもヨガスタジオがタケノコのように

乱立していてヨガスタジオの多くが

ヨガ講師を飼い殺している。

またホットヨガスタジオなど、過酷な

条件下で無茶なスケジュールを組まれ

体調不良を起こし、ヨガが出来なくなった

講師も少なくないという。

ヨガが好きでヨガ講師になったはずが
「金」や「見栄」、ヨガ講師という

「ブランド」に振り回されてしまって
なぜ自分がヨガを好きになったのか・・

その理由さえ忘れてしまっている人が
増えてる事はとても残念でならない。

言葉や形式に囚われることなく・・

 

正しき目を養いながら

心と体と真摯に向き合っていく。

 

それこそがヨギの道である。

 

 

黒戌 仁