少し息を切らせて、丘を登りきった僕の目前に

グラストンベリートーアは静かに佇んでいた。


5~6世紀頃、モードレッドとの戦いで致命傷を負った
アーサー王が傷を癒すために舟で運ばれたといわれる

伝説の島・・アヴァロン(Isle of Avalon)。


僕は遂にその地に立つ事が出来た。



片ひざをつき、塔に向かって頭を下げる。




「ただいま・・ようやく帰って来ました。」



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僕はゆっくりとグラストンベリートーアを見上げた。

同時に暖かな朝の日差しが僕の横顔を照らす。
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日の出を待っていたのだろう、カメラを手にした2人の観光客らしき外国人と、
現地に住んでいるらしいジョギング姿の女性から小さな歓声があがった。

シーズンオフだった事もあってか、僕たちの他に人は殆ど居なかった。

皆、暫く沈黙したまま、太陽を眺めた。


雲の切れ目から幻想的なたくさんの光の線が大地に射していた。



静かに目を閉じ、深呼吸をした。


大地の息吹と風の流れを身体に感じる。


いくつものヴィジョンが頭の中に入り、流れていく。


まさに僕はグラストンベリーと心で会話をしていた。



すると突然、僕の頬に雨の雫が落ちてきた。


急な通り雨。


カメラを大事そうに抱えて観光客は塔の中に入っていく。


僕もそれに習ったが塔の中は天井が無く、雨が入ってくる。
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しかし塔内の四隅は風や雨の干渉をあまり受けないスポットになっていて
皆、それぞれ四隅で雨が止むのを待った。


何処からきたの?観光?など・・彼らと軽い談笑をしていると

通り雨は3分も続かずに止んだ。



そしてまた外へと出た僕たちは皆、息を飲んだ・・・

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グラストンベリー・トーアに虹が掛かっていたのだ。

しかも驚くことにその虹はツインレインボーだった。
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ジョギング姿の地元の女性が感動の涙を流しながら僕に近付き、

「こんなことは滅多に無いわ。私たちは奇跡を見ているのよ。」

と微笑んだ。


僕は涙が溢れて止まらなくなった。



僕は今日、この日、この時間に来るべくして此処に来たのだ。



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ツインレインボーの横には澄み切った月も出ていた。


この光景はまさに奇跡だった。




塔を眺め、肌に触れ、意識を塔の上へと運ぶ・・


その作業を何度も何度も繰り返した。

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塔には、牛が神聖な神の乗り物として描かれた彫刻が成されていた。

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修道士の彫刻だろうか。風化しているが尊厳さを感じる。

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塔内のガイドボード。


塔内には腿くらいの高さの石造りの祭壇のようなものが二つあった。

人によっては、そこに座り、瞑想をするのだろう。


暫くすると、また雲行きが怪しくなってきたので
トーアをあとにする事にした。


細い山道を降りていると強く一陣の風が吹き抜けた。

それと同時に木の葉や小枝が地面を流れる。

その一つが偶然、十字架の形を成した。

神聖なサインである事が分かったが写真には故意に収めなかった。


丘を降り、グラストンベリートーアの門を出ると同時に雨が降ってきた。

トーアの門に入ると同時に雨が止み、今後は出ると同時に雨が降り出す。


此処に来てから偶然では片付ける事の出来ない様ざまな奇跡が起こっている。


そして極めつけはその雨が急に雹に変わったことだ。


時間にして1分もなかったが紛れも無い奇跡だった。


僅かながらの雹は霊的感覚の目覚めを現し、
固定概念や既成観念を捨てよという神からのメッセージだといわれている。


僕は胸が熱くなるのを感じた。



グラストンベリートーア。

別名:旧セントマイケル(聖ミカエル)教会は

この僅かな時間内で僕に沢山の奇跡をもたらしたのだった。




つづく