テレビ画面に映し出されたその映像は


旧生駒駅のホームの奥に、僕たちが階段を見つける少し前の場面だった。




そこに旧生駒駅のホームから僕たちを見つめる

ヘルメットをかぶった「作業員」の姿・・・





余りにもはっきりと映り込んだその「姿」に

最初、僕はその場所に本当に人が居たのかと勘違いしたほどだった。




その「作業員」は最初、ホームの左手に建てられた無縁地蔵の所に姿を現し、

膝上くらいの高さの地蔵の後ろからじっと僕たちを見ていた。




それからゆっくりと左手にある大きな慰霊碑のほうに歩くと

慰霊碑の中へと消えていったのだ。


その一挙手一投足は生身の人間そのものであった。



僕は今までの人生で「呪いのビデオシリーズ」など

沢山の恐怖映像を見ているが、今でも「それ」は自信をもって

最もハッキリと霊が映し出された映像だったと言えるものだった。





『まずいかも‥これ‥』

爪を噛みながら険しい表情で画面を見つめる彼女の言葉に

女の子たちは恐怖のあまり泣き出し、男たちはそんな彼女たちを気遣う事も出来ず、

一同は完全に凍りついたまま、呆然とテレビ画面を見つめていた。





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