2Kの狭い部屋に10人ほどが集まってのビデオ鑑賞会が始まった。


邪魔なテーブルは隣の部屋に立てかけて、みんな食い入るように

テレビ画面を見つめた。




再生されたビデオはまず取り留めのない

メンバーたちの自己紹介や各自の意気込みなどが流れ、

和やかな感じで進んでいった。



新調したばかりの靴を自慢するあやが映し出され、

僕は、彼女がトンネルで声を聴いた事、

あやの買ったばかりの靴のソールがカカトから爪先まで

めくれあがった事を彼女に説明した。



彼女は小さくうんうんと頷き、ビデオに映し出された

旧生駒トンネルの映像に眉をひそめた。




『あんたたち‥良く無事に帰って来れたね‥』


そう言うと彼女はブラウン管を指で触れた。


『まず・・こことここに霊がぶら下がってる‥』


映像にはトンネルに向かって歩く高橋の姿が映し出されていた。



彼女の指を指した場所はトンネルの入り口の
草木が生い茂る場所だった。



『まじ?』

『どこどこ?』

『全然見えん!』

にわかに部屋が活気だち、男たちはテレビの前に我先にと押し寄せる。



『んー‥私にしか見えないんか‥』

淡々とした彼女の言葉に男子一同はガッカリした様子で肩を落とす。



しかし眉間にシワを寄せながら映像を見つめていた

彼女が珍しく声をあげた。


『あ!ここっ!ちょっと巻き戻してスロー再生。』



とっさに振られて、大竹は慌てながら映像を巻き戻した。


男子たちもまた一斉に前のめりになりながらテレビを見つめた。



映像は高橋が生駒旧トンネルの正面に立って

写真を撮ろうとしてる場面だった。



『此処で取り憑かれたんだ‥』



彼女がそう呟く声を聞きながら、


画面を食い入る様に見つめていた僕たちは

スロー再生されたその映像に息を呑んだ・・。



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