『終わったの?』

淡々とした口調で聞く彼女の声に安堵感を抱きながら

僕は受話器越しに頷いた。


『今から同僚の誰かの家で今日撮ったビデオの鑑賞会をするみたいやよ。』

そう僕が言い終わる前に彼女は口を開いた。


『ちょっと待って‥あんたら、なんか凄い数の霊を連れてきてる‥』

彼女のその冷たい口調に僕は背筋が寒くなった。


『此処からじゃ・・ちょっと誰なのかわからない‥』

彼女は暫くの沈黙をおいてそう答えた。




状況を呑み込めずにただ絶句する僕に彼女は言葉を加えた。


『ただ‥このまま皆を帰すのは危険過ぎると思う‥』


何かを考えてる様子の彼女の次の言葉を

僕はそわそわしながら待つ。




『しょうがないから・・家に全員連れてきて。』


彼女の意外な言葉に僕はただ力なく頷き、受話器を公衆電話に戻した。



改札口で切符を買おうとしている彼らを

僕は急いで呼び止め、簡潔に、そして女の子たちを極力怖がらせないように

努めながら事情を説明した。



彼らも彼女が霊能者である事を知っている者が殆どだったので

動揺しながらも僕の提案に快く従ってくれた。



高橋は彼女の家で今日のビデオを見させてくれよと

僕に言い寄り、僕もそれに了承した。


電車を待っている間、大竹が急に気分が悪いといって、しゃがみ込んだ。

僕は数珠を彼の背中に当てながら般若心経を唱えた。


そうこうしているうちに電車が来て、僕たちは何かから逃れるように

近鉄電車に乗り込んだ。


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