先頭を意気揚々と登っていたリーダー格の西田が

鳥居を前にして突然、立ち止まった。


『何しとんのー?はよ中に入ろうやー!』


高橋が後ろから怪訝そうに西田に声をかけ、

その声に我に返った西田は急に振り返ると

蒼白な顔に小さな冷や汗をかきながら、首を強く横に振った。


『此処・・絶対入ったらあかんわっ!鳥居に足入れよう思うたら

急にめちゃくちゃ鳥肌立ちよった・・』


そう言いながらシャツの袖を捲って僕に見せた彼の腕は

確かに異様なほどに毛が逆立っていた。


『すまん!まじ此処はヤバい気がする。しゃれならん気する・・』

一番、意気揚々と先頭を歩いていた西田の突然の変化と

その青ざめた表情にただならぬ異様さを感じ、不満げだった仲間たちも

渋々、山を降りることにした。


実際、その鳥居の奥は月明かりも通らぬほどに漆黒の闇で

僕もただならぬ空気を肌に感じた。


階段を降りている途中もずっと誰かに見られているような・・。






『イマイチやったなぁ。』


『でも変な声も撮れたし、誰かの家で試写会でもやろうや!』


男子たちは好き勝手に感想を交わし合いながら、

まるで別世界のような雰囲気があった旧生駒駅をあとにし、

現実世界の何処にでもある、現在の生駒駅にまで戻ってきた。



残念そうにする男連中をよそに、参加した女の子たちは

あやの事もあったし、彼女を連れて皆で帰ると言っていた。



僕は生駒駅の改札口で

『終わったら必ず連絡をしなさい。』

と言った彼女の言葉を思い出し、公衆電話から

彼女に連絡を入れることにした。


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