『足を‥足を誰かに引っ張られて・・』

少し落ち着きを取り戻したあやは、小さく嗚咽をあげながら答えた。


よく見るとスニーカーはまるで、かかとを大地から掴まれたかのように

爪先の方向に向けて、めくれあがっていた。



もし彼女が何かにつまずいたのだとしたら、爪先に障害物が当たり、

爪先から靴底がめくりあがらなければならない。


余りに異様なその光景に一同は無言のまま凍り付いていた。



あやは同僚に肩を抱きかかえられたまま話を続けた。


『最初‥空耳かと思ったんだけど‥知らない男の声がして・・』


その言葉に大竹はとっさにビデオカメラに撮るのを止め、

先ほどのトンネル内の映像を見るためにビデオを巻き戻し始めた。



『そしたら耳元でかすれた声で‥「かえれ」って‥』



そう言い終えると彼女はまた体を丸めて泣き出した。


『おい!皆でその声が入ってるか聴いてみようや!!』

ビデオを巻き戻している大竹を覗き込みながら、高橋が声をあげた。


僕と他の女の子たちはビデオカメラを検証する気にはなれず

僕はあやの背中を霊能者の彼女から預かった数珠でさすりながら

男子たちの反応をじっと見守っていた。



暫くしてビデオカメラに耳を傾けていた仲間たちが歓声をあげた。

『やばっ!』

『うそっ!?まじ!?』

『これ・・声やろ!?確実に!?』


お前も聴いてみろと僕にビデオカメラを差し出す大竹から

ビデオカメラを受け取り、耳を近づけて確認すると、確かに

彼女が叫ぶ少し前に、言葉のようにも聞き取れる『声らしき』音が入っていた。


『すげええええっ!!!』

男たちはさっきまでの恐怖心はどこ吹く風と言った感じで

女の子たちをそっちのけで盛り上がっていた。



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