フェンスは異常なまでに高く、乗り越えられないように

有刺鉄線が何重にも張られているので乗り越える事は出来ない。


また、フェンスの奥は街灯もないので、薄暗く、

旧生駒トンネルを肉眼で捉える事は出来なかった。



雑草に覆われたフェンス沿いをみんなで注意深く歩いていると


『おっ!見つけた!ここや!お前らここから入れるわっ!』


と一番先頭を歩いていた西田がみんなに声をかけた。



西田に駆け寄ると、草むらのカゲに隠れていたが、僕たちと同じく

「肝試し」が目的で訪れた者達が開けたと思わしき、人一人がやっと

通れるくらいの穴がフェンスに開いていた。


そこからみんなで奥へと進んだ。


フェンスを越えてしばらく歩いていると

床に所々埋め立てられた線路らしきもの、

そして月明かりにひっそりと佇む無人の廃駅が姿を表した。



『これが旧生駒駅・・凄く不気味・・』

参加した女の子の一人が静かにそう言った。



駅は長い歳月を経てボロボロに老朽化し、

確かに不気味な雰囲気を漂わせていた。


自分たちは丁度、駅のホームを目の前にして、

過去、電車が走っていた線路上に立っていた。



ホームを見上げるとホームの真ん中にとても異質な‥


そして異常に大きい『慰霊碑』と、

その横には小さな無縁仏の地蔵が並び立てられていた。



『この慰霊碑で一度、怒れる霊を鎮めようとしたんやなぁ‥』

ビデオカメラを回しながらDJの大竹が口を開いた。


『でも怒りは鎮まらなかった・・。』

『そしてトンネルは廃鉱に・・・旧生駒駅は存在さえ消されてしまった。』

西田はそう言いながらゆっくり懐中電灯を駅にむけてあてた。


大竹も懐中電灯の光に合わせて、駅の全体を撮るために

カメラを右から左へとゆっくり動かしていた。



この台詞は何度もビデオで聞いたので今でも覚えている。



『おーい!見つけたぞー♪』


押し黙って西田の言葉に耳を傾け、異様な駅のホームを見ていた皆は

その声にはっと我に返った。


声の方向に目をやると刺青バイカーの高橋が遠くから手を振っていた。


彼が懐中電灯を照らした先に、ひっそりと、しかし・・


僕たちの侵入を拒むかのように威圧的な雰囲気を醸し出した

旧生駒トンネルがぼんやりとその姿を現した。




※ブログ投票にご協力お願いします(*・∀・)ノ”
是非ここをクリックしてね♪
ペタしてね