あの時のぼくたちは、「奇跡」を信じて待つことができたんだ―。
両親がいて、子どもは二人。それが家族の「ふつう」だったあの頃。
一人っ子で鍵っ子だったぼくとハム子は、
仲良しというわけではないけれども、困ったときには助け合い、
確かに、一緒に生きていたんだ。
きょうだいのいないぼくたちは、小学六年生の春、
小さな同盟を結んだ―。
昭和40年代の団地で生きる小学校六年生の少年と少女。
それぞれの抱える事情に、まっすぐ悩んでいた
卒業までの日々の記憶。
一人っ子がめずらしかった「昭和」のあの頃。
ぼくとあいつの、さびしさと奇跡の物語。