一度罪を犯したら、人はやり直すことはできないのだろうか。
罪とは何か、償いとは何かを問いかける究極の長編ミステリー。
十五年前、アルバイト先の客だった落合に誘われ、
レストランバーの共同経営者となった向井。
信用できる相棒と築き上げた自分の城。
愛する妻と娘との、つつましくも穏やかな生活。
家庭も仕事も順風満帆な日々を過ごしていた向井聡の元に、
一通の手紙が届き、封印した記憶を甦らせようとしていた。
「あの男たちは刑務所から出ています」。
便箋には、それだけが書かれていた。
送り主は誰なのか、その目的とは。
ある理由から警察にも家族にも相談できない向井は、
姿見せぬ脅迫者に一人立ち向かうが。
故郷、家族、犯した罪…。葬ったはずの過去による復讐が、
いま始まる。