天才的頭脳と、絶望的な孤独。
授けられたのは、それだけだった。
殺人事件の容疑者として逮捕された少年には、
戸籍がなかった。
十八歳くらいだと推定され、「町田博史」と名付けられた少年は、
少年院入所時の知能検査でIQ161以上を記録する。
法務教官の内藤は、町田が何を考えているか読めず、
彼が入所したことによって院内に起こった不協和音に
頭を悩ませていた。
やがて、何人かの少年を巻きこんだ脱走事件の発生によって、
事態は意外な展開を見せる…。
孤独な天才児と彼にかかわる人々とのドラマ、
背後にうごめく呪われた陰謀。
著者畢生の大河長編!