2003年「二十年目の恩讐」で第49回江戸川乱歩賞を受賞。
同作は刊行に当たって「翳りゆく夏」と改題。
「翳りゆく夏」がすごく面白かったので、
期待値も高かったけど、やっぱこの作家さん面白い。
ややペースは遅いけど、やっつけの作品がないところは
逆に好感もてます。
殺さない、破滅させる。これぞ復讐。
敵は両親と姉を自殺に追い込んだ成り上がり財閥の独裁者。
戦前の大阪を駆け廻る凄腕の詐欺師たちを描く。
戦前の大阪。
瀬戸俊介は、両親を破産させ甘言で妾にした姉まで
死に追いやった新興財閥総帥の灘尾儀一郎の殺害を誓う。
偶然知り合った町工場主の春日は、自分の裏稼業は詐欺師だと明かす。
「殺すな、かたきは取ってやる」。
俊介の全財産で雇われた詐欺師たちは灘尾財閥破綻に向け、
壮大な詐欺を仕掛け始める。
特高も検事局も“誠実”に騙し切れ!
仕掛けの裏に仕掛けあり。
ありもしない最新軍事技術をどうやって信じ込ませるか?
一歩間違えばデッドエンド。
詐欺師たちは当主の儀一郎に反抗して解任された
灘尾電機の元社長を仲間に引き入れ、
財閥本社の電話交換嬢を騙して抱き込む。
用意した餌は、海軍に食い込みを狙う灘尾が渇望する
最新軍事技術。特高警察・検事局・海軍技術研究所が交錯し、
クライマックスの京都帝国大学へ。
痛快コンゲーム・ミステリー長編。
主役は瀬戸俊介というより春日。
ドラマ化はされてないと思うけど、もしドラマ化されるなら
春日役は伊勢谷友介がいいなあ。
瀬戸役はは松山ケンイチなんてどうでしょう。