足の踝の辺まで雪が降りました。限りなく広く見える広大な草原。ホッペタに冬の一番寒い時期若いユスと言われる寒さが感じられます。冬を九日間づつ九つに分けた四番目が若いユスと呼ばれ、一番寒い時期とされています。
たまに低く地土を吹き荒れる吹雪。そんな日に、列になって歩く狼の群れを想像してみてください。狼は繁殖期にこの様に列になって移動します。列の先頭に雌の中で一番優れた狼が、その後から雄の中で一番優れた狼が、と言うように体力や勇気、賢さなどによって順番で列になり、「群れの最後には一番弱い狼が歩きます。一番優れた雌の狼は群れの中で一番強い雄狼の子を生みます。このように狼は、厳しい自然の試練に耐えて体力的に優れた血統になっています。一番先頭を歩いている狼、すなわち一番強い雌狼が猟師により殺された場合、狼の群れはその狩人を囲み復讐するので、経験豊かな狩人は群れの最後を行く狼を狙います。この様に、狼の群れの中から優れている者が残り、力の弱い者が狩猟の対象となっています。モンゴル人が狼を運が良い動物と言う理由はなんでしょうか。

一人の狩人は秋の黄色い草原で一匹の狼に出会い、その狼を狩猟しようとついて行きました。すると、その狼は一つの小さな丘を越えて、見えなくなりました。狩人はびっくりし、がっかりして待っていると経験豊かな狩人がやって来ました。その狩人にそのことを言ったら狩人は双眼鏡を出して周辺や四方を用心深く観察し、ほら!見て人に教えられた様に、本当に賢い動物だね。と言いながら電柱を指差しました。見ると草原で出会った狼は後足で立って電柱を前足で抱いて電柱に隠れるようにして立っていました。これは狼はまさに賢い動物と言うことの例でしょう。また一つの例として1996年に、モンゴル全国に大きな被害を与えた自然火災では多くの動物や野鳥も被害を受けました。しかし、その中で、狼は運が良い動物なので、被害を一番少なく受けたと言えるでしょう。逃げ場のない大火災に直面し、二匹の狼が口に一本の棒を加えて、その棒を子狼に抱かせ火災から救い出すという様子を目撃した人は少なくありません。狼についての民話は沢山あります。昔モンゴルの国王たちが自分たちの運を取り戻すために、年に一回狼狩りに出掛ける習慣がありました。草原を行っている特、狼に会ったら、自分も運が良いと考えます。一方運が優れている人が狼を狩猟すると言う話もあります。狼を狩猟してその毛皮を使うほか、肉や内臓を伝統的な治療に使ってきました。例えば、狼の喉肉が喉の病気に、内臓は人間の内臓の病気の治療によく使われています。狼の肉は特に肺の病気の治療に良いとされています。

最後に、モンゴルに生息するシマリスのお話をします。
シマリスは小さな動物で、身長はほんの13センチから15センチほどで、体重も100グラムしかありません。一般に森に住むため、モンゴル西部の山脈地帯がモンゴルシマリスの生息地となります。春先、食べ物が足りなくなる時期には、木の皮でもかまわずに食べますが、夏の季節になれば、新鮮な果物を食べながら、森を遊びまわります。それに続く秋になるとシマリスは松ぼっくりで、おなかを一杯にし、あっという間に丸く太ってきます。ところが、五年に一回ほどですが、まつぼっくりが全然できなくなる年があります。そんな年は、シマリスたちにとって、戦争が起こったような大変なことになります。皆が移動を始めます。

シマリスは木から木に飛び移りながら移動する動物なので、途中で出会ったシマリスたちすべてが集まりながら進んで行くことになります。このシマリスの大きな群れによる移動は、森林の中で、太陽にも、雨にも当たり過ぎない良い場所が見つかると止まり、群れはばらばらに分かれます。もしも、こういった、便利なところが見つからずに冬になってしまったら、弱って死んでしまいます。


シマリスは、5月から6月にかけて、5,6匹の子リスを生みます。子リスは
45日間ほどの間、親リスと一緒に生活をしながら自分で独立する練習をします。そして、夏になると、シマリスの子供たちは分かれて巣を作って行きます。
木の窪みの中に、巣を作って、モンゴルの平原にいるタルバガンと同じように
10月から、翌年の3月まで、冬眠に入ります。一般に、シマリスは、雄と雌がつがいで、冬眠することが多いのです。人間だったら、まるで、本当に運命によって、巡り合った、二人のように仲良くカップルで冬眠し、春を待ちます。
シマリスには、木の上からジャンプして下までまっすぐ落ちていくという習性があります。でも、もともと体重の軽い動物なので地面にまっすぐ落ちることはありません。まるで、紙切れのように静かに落ちて行きます。動物に関する本などによれば、30メートル以上もある高い木から落ちるときでも、全くけがをしないで地面に降り立つなどと、書かれていますが、これより、高い木から落ちたりすると、下まで下りずに風で吹き飛ばれてしまうこともあるようです。
秋のシマリスは、食料を準備しておくと言う習性があります。まつぼっくり、
果物、きのこ、草や木の種などを夏のうちに集めて置くのですが、一匹のシマリスで8キロも集めることがあるそうです。こうして集めた食料は木の窪みや穴の中に入れ、草、小さい石、土などを押し込んで埋めておきます。同じ穴の中にいても、シマリスたちは、皆が別々に財産を持っていると言うのは、面白いことですよね。春には、食べ物が少なくなるし、また、シマリスの交尾期がちょうどそのときにあたりますので、準備しておいた食料は重要なものになります。