モンゴル都市生活


モンゴルの全人口は約260万人、名古屋市とほぼ同じ規模である。そのうちの3分の180万人を越える人が首都ウランバートルに住んでいる。都会に住むモンゴル人も遊牧の生活に郷愁のようなものを持っている。彼らの多くは近年都会に移り住んだ人たちであり、もとは遊牧生活をしていた。

比較的裕福な人は郊外に夏の家を持っている。二月ほどのつかの間の夏をアパート暮らしの猥雑さから逃れる意味もあるのであろう。また、ロシア文化の影響もあるであろう。モンゴル人は比較的長い夏休みをとる。その間、多くの人は実家や親戚が住む田舎へ出かける。アイラグと呼ばれる馬乳を発酵させて作る馬乳酒を大量に飲むと下痢する。彼らは「田舎のゲルの中で馬乳酒を飲んで都会の食事でたまった滓を下痢で体外に出し、広い草原のなかで体中の都会の空気と自然の空気を入れ替える」のだと言う。


ウランバートル人口の増加にアパートの建造が追いつかず、半分くらいの人はゲルに住む。他の開発途上国だったらみすぼらしい小屋を作って住むところだろうが、ゲルという伝統的な住居と広い土地を持つモンゴルの強みでスラムにならずにすんでいる。アパートはロシア式の作りで、棟と棟の間にはゆったりとしたスペースがとってあり、子供が遊ぶための公園もある。これらのアパートに住むには申請して自分の順番が来るのを待つ必要がある。順番が来たら国から融資を受けて買い取るのだ。


ウランバートル市北側の山に広がる居住地のことをさしています。この通称「ゲル地区」には、市人口の6割の約60万人が住んでいるといわれています。「ゲル」とよばれるモンゴルの伝統的な住居(白いテントのようなもの)に住んでいることからゲル地区と呼ばれています。この地区では、水や暖房などの生活インフラが通っていません。ウランバートルの人口は年率5% の割合で増加しており、最近は北側だけでなく、その東西の山にも居住エリアが拡大しています。