1/3B BACH 『マタイ』回想録6 ~聖トーマス教会~ | 季節の横顔

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昭和10年に刊行された祖父の随筆集『季節の横顔』によって,昭和初期という時代に生きた人々の様子,また時代を超えて共通する想いなどについて語るブログとしてスタート。
・・・今では単なるつぶやきノートです。

クラシカジャパンで、『マタイ受難曲』演奏会の様子が放送されていた。

ライプツィヒにある聖トーマス教会で、1998年に収録されたものである。

下の写真は、2004年に訪れた際に写したもの。

ここに、オーケストラ、合唱団、ソリストが並ぶ。

クラシカジャパンは高いけれど(^^;)

こういう放送が見られるから、やはりやめられない・・・。

本当は、その場で、

教会内の空気をふるわせる音のすべてを、

全身で浴びるように聴けたら良いのだけれど、

日本に住んでいるのにテレビで見られる・・というだけでも、

ありがたいと思わねば。


thomaskirche


合唱団は少年のみ。ソプラノもアルトも少年達。

バッハの時代はそうだったというのを、どこかで読んだ記憶がある。

ただ一部の最後のコラールだけは、少女達が加わった。

その少女達は、曲が始まる寸前に、

Ⅰ群とⅡ群の間からすっと立ち上がったのだが、

それまで、そこに座っているということが全くわからなかったので、

どっから湧いてきたんだ?!という感じで、少し驚いた。


ソリストの5人はもちろん大人であるが、

アリア以外のソロの部分は、ほとんど合唱団員が歌っていた。

少年である。

なかでも印象的だったのはユダ。

「ごきげんよう、ラビ」とか「私は悪いことをしてしまった」というあたりに、

少年ならではの・・というか、オドオドしたような雰囲気があり、

そこには、確信を持って師を売ったという「悪人像」はなく、

不安や後悔、絶望に押しつぶされてしまった、

ひとりの人間のリアルな存在感があった。