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言わんとわからん
寿岳章子
(『ひとりで暮らすということ』より)
以心伝心という言葉があります
ほとんどの人は
何も言わなくてもわかること
と理解しているようです
庄原市東城町川西八幡神社の子乗り狛犬
でも
本来は仏教用語で
言葉ではなかなか言いあらわせない真理を
心から心へと伝えることなのだそうです
つまり
言葉がなくてもいい
ということではないのですね
言葉も含めたあらゆる手段で
心をこめ
心を伝える
・
・
・
・
こちらの方が
近いような気がします
さすがに
国語学者でもある寿岳章子の家庭は
いつもことばの花が
咲いていたそうです
三次市・馬洗川(みよしし・ばせんがわ)
言わなきゃわからんのか
ということば拒否宣言は
うちでは成立しなかった
とか
日本人は
豊かな言葉の文化を持っているのに
こういう
ことば拒否宣言を
する人も多いようです
言わないでおいて
わからんのかというのは
相手に対する甘えともいえるでしょう
言葉に苦手意識を持っている人も
いるかと思います
でも
言葉は心の入れ物
上手ではなくても
心がたくさん詰まっていれば
充分伝わるものだと思うのです
思い出を
より鮮やかに残すのも言葉
遠い人を思い出すとき
やはり
言葉が聞こえてきます
ことばの花は枯れないのですね
寿岳章子も言っています
生きても死んでも
ことばはある
広島市・空鞘(そらさや)稲荷神社
じゅがく・あきこ
国語学者、随筆家
大正13年(1924) 1月2日
〜
平成17年(2005) 7月13日
父は英文学者・書誌学者の寿岳文章
母は随筆家の寿岳しづ
中世国語学と言語生活史を専門とする一方
文化や女性問題の市民活動においても
貢献しました
著書に『暮らしのことばと心』
『出会いに生きるーー私のこころ暮らし』
など
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