













目の正月
めのしょうがつ
目の保養
眼福がんぷく
などと同じ意味です
美しいものを見たときなどに使う言葉
正月というのは比喩で
いいものが見られて
いい日だな
というくらいの意味です
目正月ともいいます
月の鏡小春に見るや目正月
松尾芭蕉
鏡のような月を
秋のおだやかな夜に眺めるのは
目の正月ですね
というほのぼのした感慨の句
でも
月
鏡
春
見
目正月
と
カクカクとした漢字が連なると
ほのぼのというよりも
どちらかといえば
ややカチッとした印象を抱いてしまいます
のどかに月を眺めているにしては
文字の並びが直線的というか
澄んだ夜空から降る月光というのは
この句のようにまっすぐで
少し硬質な肌ざわりだったんでしょうか
ちなみに小春のころ
(旧暦十月。新暦の十一月ごろ)
は
稲刈り🌾を終えた農家が
暖かい日に済ませておこうと冬に備えて
家を直したりするなど
忙しくて手が回らなかったあれこれに
手を入れる時期だったそうです
あけまして
おめでとうございます
2021年
令和3年 丑年が
みなさんにとって
素敵な一年となりますように
おめでとう🍀
めでたいは
愛めでるに
程度がはなはだしいという意味の
甚いたしがついた愛で甚しが
変化したものだといいます
愛でるという言葉
は
今でも使いますね
心がひかれ
いとしく思ったり
すばらしいと思ったりすることです
目出度い
芽出度い
などの漢字を当てることもありますが
これらは当て字
とはいえ
愛でるの語源は
目に関する説がほとんどです
目と芽は同源ですから
あながちでたらめともいえないようです
目が引きつけられるような気持ち
心に芽が萌え出るような思い
・
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・
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・
・
たしかに
当てはまるような気がします
おめでとうは
私たちがもっとも一般的に使う祝福の言葉
これはおめでたく存じますなどの
下の部分が略されたおめでたくが
音便変化でおめでとうになったものです
あなたに心がひかれる
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・
そんな気持ちを
私たちはこんなに素直に
口にしてきたのですね
玉箒
たまははき
蚕を飼っている家では
正月の子ねの日には
蚕室さんしつ(蚕を飼う部屋)を
掃除する習慣があります
そのときに用いるのは
玉飾りのついた小さな箒🧹で
玉箒といいます
蚕は絹を生み出すありがたい存在なので
年の始めに美しい箒で掃き清めるのは
大事なならわしです
そして
なぜか酒のことも玉箒と呼ぶそうです
なぜ酒🍶が箒🧹?
と思ったら
現世の愁うれいを掃いて払ってくれるから
とのこと
🍶酒は愁いの玉箒🍀
ということわざまであるくらい
十一世紀ごろの中国
北栄時代の詩人
蘇軾そしょくがこんな詩を書いたのが
もともとの由来とか
應呼釣詩鉤
応まさに詩を釣る鉤はりと呼ぶべし
亦號掃愁箒
亦また愁うれいを掃はらう箒とも号ごうせん
蘇軾「洞庭どうていの春色しゅんしょく」より
こんなにうまい酒をなんと呼ぼうか
詩を釣りあげる釣り針か
それとも
愁いを払ってくれる箒か
愁いを払うというと
うっぷん晴らしの暗い酒かと思いきや
この詩を見ると
隣りに並んだほめ言葉が
詩のインスピレーションを
釣り上げてくれる
魔法の飲み物だ!
というほど前のめりな持ちあげっぷりなので
暗い酒というよりも
むしろ胸がスッとする清々しい美酒を
歌っているんだとわかります
楽しいお酒🍶が







