悲しみのシジュウカラ ~まだ消えぬヒナの記憶~
シジュウカラの繁殖時期は、
もうすでに過ぎていると思われるが、
梅ノ木に
いつもやってくるシジュウカラの様子を見れば、
まだ
ヒナの悲劇を忘れられずにいるのではないかと
胸が締め付けられる。
いつもは、
巣箱の上には、
スズメがとまることはあっても
シジュウカラはほとんどとまらない。
ところが、
このシジュウカラは
時々こんなとまり方をする。
そして、
巣箱の出入り口に足をかけ、
中の様子を伺う。
ヒナが、
侵入した蛇に飲み込まれた事故の後、
巣箱の中は
きれいに掃除をして
空っぽなのだが、
それでもこうして奥の方まで覗き込む。
時期が来たら、
この巣箱を、
自分の営巣用に使うつもりで覗いているように見えるのだが、
次の態度を見ると、
ひょっとしたらこのシジュウカラは、
事故にあったあのヒナの
親鳥ではないかと思ってしまう。
巣箱に取りつく用心深さが、
事故直後の親鳥の態度と
全く同じである。
このシジュウカラは
あのヒナ鳥の親?
もしそうだとしたら、
この親は
まだあのヒナ鳥のことを忘れられないで、
苦悩しているのだろうか。
あれからすでに20日も経つ。
考えれば
ちょっと切ない。
何度覗いても、
もうそこには危険はないし、
ヒナ鳥はいない。
早く忘れて、
新しい恋をし、
また春先には
元気な親子の姿を見せてほしいものである。





