胡蝶蘭 ~ファレノプシス~
胡蝶蘭は、
祝い事などの贈り物としてよく使われるが、
ほとんどの場合、
そのあとの命ははかない。
どんなに大きくて豪華な胡蝶蘭でも、
あとの世話をする人がいなくては、
そのまま命を終えるしかない。
余りにもありふれていることと、
そして、
余りにも花期が長いため、
生花というより
造花のような感じがして、
いまいち育ててみようと思う人が少ないのかもしれない。
現役時代、
会社に贈られた
そんな豪華な花を捨てるに忍びず、
一株ずつに分けて、
好きな人に持って帰ってもらったのだが、
その時の一株。
我が家に来てから、
すでに十年くらいになるだろうか。
毎年綺麗な花を咲かせてくれる。
花数こそ少ないが、
少ない分だけ花は大きい。
もう一か月以上も咲き続けている。
正面から見ると、
鉢に花を植えてあるのではなく、
活けてあるみたいに見える。
花の横径が
11cmもある大輪。
私は、
花は女性の化身であると思っているため、
コスモスや
ポピーや、
我が家のジュエルなどのように、
か弱さと美しさを
兼ね備えているものが好きなのだが、
その花が
頂きものであった場合は、
好き嫌いを言ってはおられない。
丈夫で長持ちするような
頑丈な花であり、
それが自分の好みの花でなくても、
女性であると思えば、
捨て去るのは男のプライドが許さない。
そうして我が家に滞在すること
かれこれ十年。
ただひたすらに
ひたむきに咲き続ける
胡蝶蘭の姿こそ
いとおしい。
どんなものでも、
長く身近にあると
馴染むものである。
ましてや、
美しさがあればなおさらである。

