古事記の里に別れを告げて ~B787で東京へ~ | Totoronの花鳥風月

古事記の里に別れを告げて ~B787で東京へ~



日本の


天皇制の歴史が始まった場所、


神々の故郷、


笠沙の御崎に別れを告げて、


再び機上の人となる。





景色を少し振り返ろう。



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少しずつ明るくなる海。


空にはカツオドリが舞う。







朝焼けの中の島と舟。



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エンジンの音が聞こえて来そうなしじまの中。


時は静かに流れている。






人を寄せ付けぬ神々の岩。


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2,000有余年静かにたたずむ。






ここに居ると、


時を一気に遡り、


文明という雑念から離れて、


自然の中に身を置ける。





心洗われる思いとは


このようなことを言うのだろう。









そして突然、


意識は嫌でも現代に戻る。





今年国内に就航したばかりの


「B787 ドリームライナー」。


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最新鋭中型ジェット旅客機。





鹿児島空港でチケットを購入する時、


「お席は窓側がございますがいかがなさいますか?」 


と聞かれ、即座に


「通路側でキャビンアテンダントのそばにしてください」


とお願いする。





通路側の良さは、


来る時の飛行機で書いた。





客室乗務員の座っているそばを指定したのは、


彼女らの様子を見ていると、


安心できるだろうと思っただけで


それ以上の意味はない。





そうしたら、


当然後方の席になるのだが、


その後ろにはもちろん客室乗務員。





ところが驚いたことに、


私の隣の席にも


ANAの制服を着た客室乗務員が座って来たではないか。




「なんで?」




確かに近い所を、とお願いはしたけれど、


まさか隣に来るとは思いもしなかった。






そして、


飛行途中に、


その人から思いもしないことを聞いたので、


また飛行機が不安になってしまうのである。










B787は、


B737より一回り大きいので、


客席の数も多い。



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両サイドに3席ずつ、中央に4席。


737は通路を挟んで両サイドに3席ずつだったから、


787の方が、一列で4席多い。







来る時に乗ってきた


B737は、小型ジェット旅客機ながら、


ベストセラーで、


一時期7,000機以上が


世界の空を飛びまわっていた優秀機。






来る時に乗ってきた、


「B737」


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最大乗客数は、その仕様にもよるが約150人前後。





一方


B787は500人以上を乗せられる。





国内では、


今年就航したばかりの最新鋭機。






ということは、


今から何が起こるかまるで分らない飛行機だということになる。




相変わらずのマイナス思考が恐怖をあおる。





平気な顔をして


隣の乗務員に話しかける。





「移動も制服でするのですか?」




制服だと、


非番と知らずに声をかけられそうだから、


ちょっとおかしいので聞いてみた。




そうしたら、


その答えが私に恐怖を連れて来た。





「鹿児島まで昨日乗務して、今日別便に乗務するはずだったのですが、


その便に機体不良が発生して中止になり、東京へ帰ることになったんです。」




「そうですか」 と平然と答えはしたが、本心は



「えっ?機体不良?


だったらこの機も発生する可能性があるわけ?」





それから他に、


面白いことを教えていただいた。




「飛行機は前と後ろを比べると、


風などで尾翼が振られる分だけ


後部座席の方が揺れが大きいんですよ」。




そんなことは


乗る時に教えてほしい。





揺れの大きいところを指定して乗っているのだから、


呆れてものが言えない。





更に続く。




「大型機と小型機では、


風に対して大型機の方が強いので、揺れが少ないのですよ」





小型機に乗って、


安心できそうな顔をし、


それで怖がっているのだから、


知らぬこととはいえ情けない。






私は漁師の子だから、


大型船と小型船では


大型船の方が揺れないことぐらいは承知しているのに、


飛行機も同じだという考えには全く至っていなかった。






そうこうして、


いろいろな要素に恐怖をあおられながらも、


幸い風もなく穏やかな天気だったので、


気が付いたら羽田に着陸していた。






確かにこっちの方が揺れなかったな、と


妙に感心しながら降りたのだが、


ただ天候が良かったからだけかもしれない。





こうして私の


故郷への旅は無事に終わった。





久しぶりに


都会の喧騒から離れ、


静かな自然の、


そしてあたかも


神の懐に抱かれていたような


穏やかな時が過ぎた。






次からは、


少し平気で飛行機に乗れるようになるかもしれない、


そんな気がした旅の終わりでした。