ホットリップス ~愛の溢れる花チェリーセージ~
「ホットリップス」
この花は、
必ずペアで咲く不思議な花。
赤い部分が
熱き唇にも似て、
こう呼ばれる。
時が来れば
待ってましたとばかりに咲くけれど、
しかしその花は、
昨年咲いた花とは違う。
時は確実に移ろいで行く。
「世は無常」
しばしその雰囲気にお浸りください。
ゆく河の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず。
淀みに浮ぶうたかたは、
かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。
世の中にある人と、栖(すみか)とまたかくのごとし。
たましきの都のうちに、
棟を並べ、甍(いらか)を争へる、高き、いやしき、人の住ひは、
世々を経て尽きせぬものなれど、
これをまことかと尋ねれば、昔ありし家は稀(まれ)なり。
或は去年(こぞ)焼けて、今年作れり。
或は大家(おほいへ)亡びて小家(こいへ)となる。
住む人もこれに同じ。
この花は、二つで一つの花と見た方が良い。
無常の世にありて、お互いに寄り添って咲く。
所も変らず、人も多かれど、いにしへ見し人は、
二三十人が中(うち)に、わづかにひとりふたりなり。
朝(あした)に死に、夕(ゆふべ)に生るるならひ、
ただ水の泡にぞ似たりける。
知らず、生れ死ぬる人、何方(いずかた)より来たりて、何方へか去る。
また知らず、仮の宿り、
誰(た)が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。
その主と栖と、無常を争ふさま、
いはばあさがほの露に異ならず。
或は露落ちて花残れり。
残るといへども朝日に枯れぬ。
或は花しぼみて露なほ消えず。
消えずといへども夕を待つ事なし。
(方丈記・冒頭 鴨長明)
「チェリーセージ」。
サルビアの仲間だと言うが、
サルビアほど一気には燃え上がらない。
二つで一つの花は、
何となくロマンが漂う。
人もまた同じ。
あなたは今、
ちゃんと二人で一つになっていますか。
二人ではあるが、
寄り添えなくなってしまっていませんか。
寄り添う相手が、
本来の相手ではなく、
犬や猫に取って代わられていませんか。
二つで一つの花。
愛情あふれる花だけに、
考えさせられる花ではある。


