みごとな胡蝶侘助 ~赤と白の芸の極致~
いよいよ
この花の出番である。
我が家には
私の好みで何種類かの
木に咲く花があるが、
基本は
「赤」
そして
「白」。
今、
そのいずれも備えている花が咲き始めた。
その花の名は
「胡蝶侘助」。
椿の一種だが、
普通の椿に比べて、
花の大きさが
極めて小さい。
しかし、
一輪ずつのその花色には、
みごとな芸がある。
「胡蝶侘助」。
「侘助」とは
いかにも茶人に好まれた花の名前ではある。
茶人に好まれたから、
この名前が付いたのか、
名前が先に付いていたのかは知らない。
2、3cmしかない花であるが、
赤と白の
模様が美しい。
赤と白は
どのような比率で混ざり合っても、
嫌な比率というものがない。
このような相性の良い色は
そうそうあるものではないのだが、
きっと日本人の心の底に、
それを受け入れる深層心理が
隠れているのかもしれない。
日本の国旗もしかり。
「胡蝶」とは
昆虫の蝶の別称であるが、
敢えて胡蝶と呼ぶのは、
胡蝶蘭と
この花の名前を呼ぶ時くらいである。
ただ、
この花が
では「蝶が舞う姿に似ているか」というと、
決してそうではない。
あくまでも
奇麗なイメージから付けられた名前なのだろう。
赤と白といえば、
源氏と平家の色であり、
このように赤と白がくっきり分かれて咲く様を
「源平咲き」というくらいだから、
胡蝶の名は
あるいは源氏と平家に関連して
付けられた名前かもしれない。
「源氏物語」
全54帖の巻名の一つで、
第24帖に
「胡蝶」 とある。
その巻名は
紫の上と秋好中宮が贈答した和歌、
「花ぞののこてふをさへや下草に秋まつむしはうとく見るらむ」
及び
「こてふにもさそはれなまし心にありて八重山吹をへだてざれせば」
に因む。
「胡蝶侘助」。
いろいろと思いを馳せてくれる花。
その花の季節が
今始まった。






