冬のバラ ~最期の気高さ~
一季咲きのバラは、
早くから冬籠り体制に入り、
花はもうない。
然し、
四季咲きのバラは、
小さいながら
今、
今年最後の花を咲かせている。
春から咲き始めて今まで、
間断なく咲き続け、
ようやくひと時の休息に入る前、
最後の気品を漂わせる。
12月は、
来年のために
株を切りそろえる必要があるため、
それらの花を切り花にして
部屋に取り込んだ。
居間に置かれた「ラブアンドピース」 と「スーパースター」
盛りの頃とはいずれも色調が違い、
やはり季節を感じさせる。
むしろ、株に付けたままにしておくと、
この頃の気候のせいで、
なかなか花は散らずに、
随分と長く咲いているのだが、
エネルギーを使うので、
株に休んでもらうための切り花である。
暖房の効いた部屋では、
花の寿命が短くなるが、
その間、
四六時中人に安らぎを与えてくれる。
玄関を入ったところで、強い逆光に負けず輝く「カクテル」。
もうほとんど光に溶け込み、消え入りそうな赤になっているが、
赤を表現させたらこの人の右に出る人はいない
と言われる名人作の赤い花器から
その赤を吸い上げ、
どっこい強く生きている。
プライベートルームの小さな卵型の花器の中で、
「カクテル」と「ラブアンドピースの蕾」は、お互いをいたわり合う。
居間の写真の花器と同じで、
この乳白色の白磁の花器は
赤の名人の奥様の作。
純白ではないこの白は、
白なのに
ぬくもりさえも感じさせる絶妙の白である。
バラは花器と出合い、
花器はバラと出合って、
こころ安らぐ空間を作る。
バラは
いつでもどこでも
その気高さを失うことはない。
その株は、
じっと静かに春を待つ。
季節の風景、12月。


