さくやのくさや ~酒が醸し出す人生の悲哀~
私は、
飲むことが大好きで、
だから、
酒の肴も自ずから大好きである。
アルコールであれば好き嫌いは言わない。
だから、
酒の肴にも好き嫌いはない。
たまたま
一橋祭の時に出ていた屋台で買った
新島のくさやの干物。
青ムロアジの干物だという。
隣近所の迷惑など何するものかは。
職業に貴賎はない、
食べ物にも貴賎はない。(???)
今夜は
焼くことに決めたという。
夕食の支度ができたのを待って
二階から一階に下りて行くと、
「臭~~っ!」・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
新島の青ムロ。
かの有名なくさやの干物である。
さすがに、
二階から降りてきたら
「くさ~~っ!」
しかし、今夜は
酒飲みとして
アジ一匹に負けてはおれない。
一緒に出た肴は、
薩摩地鶏の刺身。
これをニンニク醤油で食べれば
なんともいえない。
ニンニク嫌いや
鳥インフルの怖い人には食べられない、
地鶏の生肉刺身である。
一方ではくさやの臭い、
他方ではニンニクの臭い。
家の中では、
すさまじいばかりの
臭いの対決である。
想像するだけで逃げる人もいよう。
そこが酒飲みの酒飲みたるゆえん。
この臭いの混在をものともしない。
静かに、
こんなことを考える。
今夜のニンニクは
くさやの臭いに負けるかもしれないが、
明日の朝には
くさやの臭いを負かしていよう。
そんなアホなことはどうでもいい。
気は心で、
こんなものを食べる。
ニンジンやキャベツなど
野菜の千切り。
こんなに皿いっぱい食べて、
お腹をごまかす。
私はヤギか!
否、
ヤギではないが星座はヤギ座。
そんなことはどうでもいい。
でも
臭いはきっと
ごまかせない。
翌日
誰にも会わないことを見越しての
晩酌のつまみの話題。
いかがだったでしょうか。
近頃は
隣近所のことを考えると、
くさやの一匹も焼けない人間関係。
情けない。
それにしても
何年振りかに
くさやはやはり臭かった。
そして、
やっぱりうまかった。
酒飲みは
酒の肴に文句は付けない。
飲んでいる酒自体が、
おいしいとはいえない焼酎だから。
秋の夜長は、
酒が良き友。
とどめにひと節。
「酒は飲むべし百薬の長、
女は抱くべしこれまた人生無上の快楽。
酔うて枕す胡蝶美人の膝枕、
明けて覚むれば
昨夜の未練さらにさらになし」
飲むほどに酔うほどに若さがよみがえる。
酒を飲めない人は、
この楽しみを生涯味わえないという不幸を背負う。
モッタイナイ。
その代り、
酒を飲む人は、
その酒で
一度くらいは人生の悲哀を味わう。
どっこいどっこいなのだろうか。


