オイラは怪談好きと言うこともあって、乗る人乗る人(モチロン人は選ぶが)「何か怖い体験無いですか?」と聞いて、※ストーリー性があって面白い恐怖体験の場合
「その話、使わせてもらってもいいですか?」
と許可を貰った上で、心霊話の好きなお客さんに、お客さん怪談として話しとった。
※(お化けを見るだけならオイラも見たことあるが、基本、ただ見ただけで、ストーリー性がある事は稀である。)
今回はお客さん(仮名を角川氏としよう)の恐怖体験怪談を紹介する。
角川氏はオイラと同年代のお客さんで、奇遇にも下の名前が一緒な上に、「プリズン・ブレイク」ファン同士という事もあって話も盛り上がった(ネタバレまでしやがった)。
氏は日曜になると、早朝から水力発電所の直ぐ側を流れる、宮崎県内のとある河川の上流域の川まで釣りに行っとったそうで、狙う魚はシーバスだったそうな。
俺「え!そこって河口からウン十キロ以上離れてますよ!そこまでスズキが遡上してくるんですか?」
角川氏「余裕でいますよ(笑)」
その後、地元の方から聞くところに寄ると、普通にボラの群れも泳いどるそうな。
恐るべしおさかなクンパワー!
ここからは角川氏の恐怖体験に入る。
その日の早朝、何時ものように堤の上にクルマを止めた角川氏は釣り竿ケースや軽いアウトドア用具一式を持って、堤から下る階段を降りて釣りの準備に取り掛かる。
準備が終わるとルアーを投げては巻きを繰り返すが、その日は一切手応えが無く、気づけば十時になっとったそうだ。
椅子に座って暫し休憩してると何処からか可愛らしい女の人がやって来て、無邪気に話し掛けてきたそうな。
年齢は二十歳そこらで、服装も(当時の)今どきの女のコといった感じで、あまりの可愛さと人懐っこさに、釣りもそっちのけでずっと話しとったという。
気づけば、すっかり日も落ち始め、角川氏は荷物をまとめると
「もう、遅くなってきたんで帰りますね♪」
と女のコに言うと、じゃあ、お見送りします♪とばかりに、釣り竿ケースをクルマまで運んでくれたという。
クルマまで来た角川氏はトランクを開けると、アウトドア用具を先に積んで、次に女のコから釣り竿ケースを受け取って車に積んで
「バタン!」
と車のトランクを締めて振り返ると女のコは居なくなってたという。
角川氏「でもね〜、運転手さん。
オレ、あれだけ長くその女の子と話してたのに、何を話してたのか、会話の内容を全然覚えて無いんですよ~・・・」
と、角川氏は最後に語った。
それから後に角川氏とは一切関わりの無い、地元の方から聞いた話によると、角川氏の体験の一ヶ月ほど前に、その場所の上流で二十歳の女の子が橋から飛び降りて亡くなったという。
御遺体が上がった場所はちょうど角川氏が釣りをしていた辺だが、飛び降りをした女の子と、角川氏が会話した女の子の関連があるかはわからない。
おちまい