クライスラー再建で知られるアイアコッカが、自叙伝のなかで興味ある見解を述べている。
20年以上も前の本なので今は事情が違うだろうが、彼によるとシートベルトの方が安全。
エアーバッグがふくらむと運転手は前が見えなくなる。
ましてや走行中に誤ってふくらんだら大変な事故になる。
実際、当時のアメリカでは誤作動が多かったそうだ。
その点シートベルトならきゅっと締め付けられるだけで、目も腕も自由なまま。
普通に状況判断ができ、すばやい行動をとることができる、という指摘だ。
知り合いのとばし屋が、アルファロメオでパリの環状線のガードレールに
激突したときの話をきいたことがある。
哀れアルファは団子のように丸くなったが、本人はエアーバッグが顔にバーンと
ぶつかって擦り傷ができただけだった。
完全な酔っ払い運転だったので、警察にしょっぴかれるのではないかとびくびくしていたが、
腫れた顔を見た警官は「大丈夫か? 大丈夫か?」と心配してくれ、酒のことはお咎めなしだったそうだ。
これはエアーバッグの利点と言えるかも知れない。