ソラ君の国語の教科書に

″こわれた千の楽器″

というお話が載っています。


楽器倉庫に長年放置され誰からも忘れ去られた様な

沢山の壊れた楽器が、もう一度演奏する事を

夢見て、練習をしてお互いの壊れた部分を

補完しながら1つの音楽を奏でるという

お話です。


誰も他者にケチを付けたり貶めたりする事なく

諦めたり泣き言を言う者もいない。

最初から最後まで皆んなの心が1つという

人間社会では、こうはいかないだろうなという

美しい関係が続きます。


もしこれが人間社会なら、あいつは良いよな

殆ど壊れていないじゃないかとか、あいつは

1つか音が出せなくて足手纏いなくせに口だけは

出しやがってとか、自分より良い音を出す奴の

弦を寝ている間に切ってしまおうとか

幾つも事件が起きるでしょう。


自閉症という社会もまさにそれで

足りない部分を認め合って、補い合えば良いのに

足りない部分を陰で笑ったり影口を叩いたり

突出した部分でさえ褒める事はなく

嫌味の1つも付けて心無い

言葉を投げつけてしまう。

上に行く者の足を引っ張るのはお約束。

なんと見苦しくて醜い社会でしょうか。


私はこの社会をソラ君に見せたくはないし

知って欲しくはない。

どこか遠くに逃して

綺麗な世界だけを見て生きてほしいと

願ってしまいます。