気象庁は、津波警報の精度を向上させるため、三陸沖約100キロにブイ式の海底津波計3台を設置することを決めた。東日本大震災の余震や、震災震源域東側で発生が懸念されている「アウターライズ地震」に対応する緊急措置。3次補正予算案に9億5600万円を盛り込んでおり、今年度中に設置する。

 海底津波計は三陸沖に数百キロ間隔で設置。深さ数千メートルの海底に沈め、水圧の変化から津波高などを観測する。データは海面上のブイに音波で送り、ブイの通信機から通信衛星を通じて気象庁に届く。

 気象庁によると、100キロ沖に設置することで、津波到達の約30分前に実測値を得られる。地震の規模を示すマグニチュード(M)から推定して発表される津波警報に反映し、より正確な警報に更新する。M9.0の東日本大震災では、気象庁が発生直後に「M7.9」と評価、津波警報も過小に発表された。

 大震災震源域の東側では、海溝型地震の後にプレート境界の外側で発生する「アウターライズ地震」が懸念されている。既に三陸沖40~70キロにケーブル式の海底津波計が設置されているが、アウターライズ地震に対応するため、より沖合に迅速に設置できるブイ式の導入を決めた。

 また同庁は3次補正予算案に、M8以上でも約15分で正しい値を算出できる新しい地震計「広帯域強震計」を全国80カ所に整備するため、3億2900万円を盛り込んだ。【池田知広】