東日本大震災で被災した事業者が新たな借金を抱える「二重ローン」問題で、民主、自民、公明の3党は20日、再建可能と判断しにくい事業者の債権についても国のリスクで買い取り、被災者の借金返済を軽減することで合意した。被災者の債権を金融機関から買い取る「東日本大震災事業者再生支援機構」(支援機構)を、政府の全額出資で来春までに新設する。返済は最長15年猶予し、債権が焦げ付いた場合は、国が損失を負担する。

 二重ローン対策で政府は、中小企業基盤整備機構などが出資して事業者の債権を買い取る「産業復興機構」(復興機構)を、被災県ごとに設置する準備を進めている。ただ、復興機構の対象は、再建可能だと判断した事業者の債権に限られ、取得枠も各県最大500億円程度。被災3県で救済が必要な債権は5600億円に上ると見られ、再建可能性の見極めが難しい中小・零細企業や農林漁業者などは対象外となる可能性があった。

 新設の支援機構は政府出資の株式会社とし、被災県に支部を置く。ただちに再生可能と判断しにくい中小・零細事業者や農林漁業者などの債権を、金融機関から重点的に買い取る。ただ、債権を回収できないと、出資した国が穴埋めすることになるため、最終的に国民負担が増大する。【吉永康朗、田所柳子】