東日本大震災による避難者の孤独死を防ごうと、福島県相馬市は高齢者が共同生活できる「長屋」の建設に乗り出す。
阪神大震災では集団生活の避難所から個室の仮設住宅に移った高齢者が孤立した教訓を基に、入居者同士がコミュニティーを築ける空間を設ける。
名称は「相馬井戸端長屋」。9日発表された計画は、1棟に約15畳の2DK12戸を連ね、入居者全員で利用できる食堂や座敷、洗濯コーナーのある「共助スペース」のほか、共同浴場を併設。
通路には手すりを取り付け、身障者用のトイレも設置する。
入居対象者は、地震・津波による被害で避難所や仮設住宅にいる高齢の単身者や老老世帯など。
入居期限は設けず、費用など詳細な条件は今後詰める。市中心部に計5棟を建設予定で、6月定例議会で可決されれば今秋にも着工するという。
立谷秀清市長は「老老世帯がみんなと一緒に助け合いながら生活することで、孤独死を出さないようにしたい」と話している。【神保圭作】