チャーリーは自転車が好き。
毎週土曜の夜、国道1号線を飛ばす。
あらゆる景色がものすごい勢いで通り過ぎる。
毎週土曜の夜、チャーリーは疾風になる。
自転車に乗ったチャーリーはまさに【水を得た魚】【ハトを得た新沼謙二】のように走り続けた。
猛列に走るため、前方から様々な物がとんでくる。
ゴミクズや包丁、チャックベリーまでもが飛んできた。
「カァー」と言う鳴き声を聞くと男は腰を振り。
「メェ~」と言う鳴き声と共にクララは立ち上がる。
ロシア映画【ボルシチ探偵】のCMが隣の車のラジオから流れるのを、チャーリーは聞き逃さなかった。
そのときチャーリーは確信した。
『ゴルバチョフ書記長の子はコゴルバチョフ書記長だ』と。
ひしきり走り、自宅で深い眠りについたその翌朝、チャーリーは心地よい筋肉痛で目を覚ますと、二羽のニワトリが庭で決闘を繰り広げていた。
きっと軍鶏(シャモ)だろう。
一羽の軍鶏を取り押さえようと軍手に指を通したら、昨夜に切った傷口が痛みで教えてきた。『馬鹿なことはやめろ、アイツは軍鶏だぞ』と。
そう【軍鶏には手を出してはいけない】と、中国の老子も言っていた。
かの兵法家「孫子」に至っては『とてもかなわねえや。だって軍鶏だもん』と後世にも伝わる言葉を残している。
朝食の目玉焼きは諦めざるを得なかったが納得できず、研ナオコの「夏をあきらめて」を口ずさんでみたら不思議と心が落ち着いたが、途中で研ナオコから「ロンリーチャップリン」にメロディーが変わっていた事には気づいてはいなかった。
いや気づいてはいけなかったのかもしれない。何故ならそれは、これから始まる悲劇の序曲であったのだから・・・・
お終い