小学四年生の春。
小学校のクラブ活動で相撲をやることになった。
本人は「ボールゲームクラブ」を希望して、無事「ボールゲームクラブ」に入れたって聞いていたけど、
その後になってボールゲームクラブは相撲クラブと合体したっていうことで、相撲をやることになったのだ。
本人はお尻を出すのは恥ずかしいなーやりたくないなーと渋っていたけど、私としては相撲とてもいいと思った。(実際には体操服のズボンの上にマワシをつけるからお尻でません。)
子供が私と同じとは限らないけど、私は他人に求められてるとおりに体を動かすことが恐ろしく苦手だ。
それはスポーツだけじゃない日常の様々に及ぶ。本当にすごいだめ。
例えば成人式の写真をとるだけでも酷くて、首をこう、足をこう、腕をもう少し挙げて、と言われているうちに「首がこう」じゃなくなってしまう。
で、また首をこうって言われて、直そうとしていると
今度は「足がこう」じゃなくなってしまって、今度は足を直す。
そして「腕がこう」じゃなくなる。
また最初から繰り返す。もっと違うところまで指示されて永遠に写真を撮れないのです。
もうなんでもいいから写真撮ってー(´;ω;`)ウゥゥ って思うころ、
相手も根負けしてなんかうんざりした顔の写真ができてしまう。
同じようにして、いろんな人ができるようにしてやろうと教えてくれたけど、
逆上がりや逆立ちなどもとうとうできずじまいで今に至る。。。
だから、柔道ってすごーく難しく見える。
足がこうで、腕がこうで、相手がこうで。。。たぶん私には永遠にできないねw
相手も動くしねー
本当に一生できそうもない。
そういう意味で、少しか私に似ているんなら、体格とそれに裏打ちされたパワーで
ドーンと押し出すだけの相撲のほうが「勝つ」という経験を積めるのではないかと、本当にワクワクしていたのですが。。。
練習初日に体格差を理由に一緒に相撲をしてくれる子がいなくなってしまった。
たった一人を除いて。
それならってことで、先生のうち一人が練習相手になってくれたものの、
子供の相手ってたいへんだったんだろうなぁ。
本人は「相手をゆっくり押す練習ばっかりで、どんなスポーツか分からない」とのこと。
全然相撲の意味を分かってない夏海のために、後にも先にもこの時だけは私も練習相手になって柔道場で相撲を取るの巻。。。
意味わかってなくて良かった。本気で相撲になってたら体が持たなかっただろう。
相撲のイメージも全く持たないまま試合当日を迎えた。
三回勝ったら、当時はやっていた妖怪ウォッチを買ってあげる約束をした。
賞品を出すと約束したのはこの時が初めてだった。
技がシンプルだから三回勝てると思って約束した。
のに。
迎えた当日、たった一人一緒に相撲をしてくれていた子は欠席ー
押す練習に付き合ってくれた先生だけは来てくれた。
あと、珍しく旦那も。
それでも私はまだ負けるイメージを持ってなかった。
でもでもなのである。
試合会場に行くと、夏海より大きい子はほとんどいなかったけど、
学校で週に一回練習しているだけの夏海とは全然違う、
毎日毎日仲間と練習しあっているようなちゃんとした強さの子たちがチームできているのだった。
そして、一回戦。土俵から出たら負けということを理解してなかった夏海は「あーちょっと待って待ってー」みたいな感じで下がって土俵からすーんと出てしまった。
初めて見る号泣。よほど妖怪ウォッチ欲しかったとみられる。
私も買ってあげたいと思って持ち出した話だから、ここは勝ってくれないとw
他の学校の子たちは仲間たちが大声で応援してて、
初心者で一人だけの夏海は雰囲気にのまれちゃってるのかな。。。
仕方ない。いつぞやは「なんかやれっ」で爆笑されてしまったけど、今回はちゃんと応援しよう、しないと、しなければ。
自分の記憶にあるかぎりの手本を思い出す。この中で一番大きい声出すと決めた。
号泣の夏海に敗者復活戦があることと、ここから三回勝つチャンスがあることを伝えて観客席に戻った。
次の試合で土俵に上がってきた夏海は泣き終わっていて一安心。
「夏海ーっ、がんばれっ!勝つよっ!!」
小学生のお子様たち相手に、大人げないオバサンの大声。
こういうときに「親バカじゃない親は、バカ親」と言ってくれる旦那が本当に心を支えてくれる。
そして、親バカ本家の旦那も柔道じゃないから「がんばれーっ」って
大きい声出していた。
相撲の勝負って本当に短い。例えじゃなくあっという間に終わってしまった。
シンプルにドーンと土俵から押し出して勝ってくれると思っていたら、
まさかの投げ技で一勝。
一回、試合してみてやっと「あ、こういうこと💡」と分かったようで、そこから6連勝。
私が思っていたような、ドーンと押し出す相撲じゃなくて
マワシ掴んで投げるという土俵で柔道してるみたいなことだったけども。
その日は、私も力が入りすぎてクタクタに疲れてしまった。
でも、夏海じゃなく私が何かを掴んだ試合だった。