我が子、夏海の通っている道場には一つ年下のぴーすけがいた。

 

ぴーすけは大きいというほど大きい体はしていなかったけど、

なんていうか上手らしくて、旦那はぴーすけは強くなると思うって言ってた。

 

先生たちもぴーすけがもっと練習に来てくれたら強くなるのにって言っていた。

 

でも、ぴーすけのお母さんたちは柔道をそういう風には思ってなくて、

ちゃんと勉強して、その後に柔道をしてほしいみたいで、平日の練習には参加しないことが多くて、土日でもほかの習い事のテストが理由でお休みすることもよくあった。

 

ぴーすけ自身は柔道強くなりたいって思っているらしくて、一生懸命練習をしていた。まだ小学生なのに巴投げを毎回毎回それしか練習してないくらい練習していた。

 

素人の私には、巴投げって自分から転んでかける技にしか見えなくて、そんなに意味が分かってない小学生がやったら、審判にうっかり負けた方にされそうな感じがしてあまり好きじゃない。

 

勝手な言い分だと思うけど、私みたいに何もわかってない観客にもはっきりこっちが投げた人で、あっちが投げられた人って分かる勝ち方をしてほしいっていつも思う。

 

いつ頃だったか正しい記憶はないけど、ぴーすけが試合で巴投げを出して勝ったときちょっとうれしかった。

 

あ、今ぴーすけ投げる!ってはっきり分かったこともうれしかったし、

延々練習してきた技でぴーすけが投げたところを見れて、めちゃくちゃうれしかった。

 

見に来ていたぴーすけのお母さんに「ぴーすけ君、ずっと練習してたやつで勝ったね!」って言ったら、お母さんは別に練習見てなかったからポカンだった。

 

私はそのことがすごく勿体なかった。これ、我が子じゃないぴーすけのでも最高なのに、絶対我が子のやつ見ないとっ!ってスイッチが入った。

 

練習も試合もとにかく見に行く中で、勝ったり負けたりをまあまあに繰り返しながらゆるゆる楽しく見ていた。