VS ストレス | がんフーフー日記

VS ストレス

ダンナである。



ダンナ部屋だから、ダンナなのは当たり前だし、

さっそく作ったダンナ部屋にひきこもるのは、

もちろんダンナでしかないのである。





実は、今回「ダンナ部屋」を作ったのは理由がある。


もともとこのブログをはじめたのは、

友人・知人に対するヨメの病状報告がメインであったのは

前項でも書いたが、やっていくうちに私の生来の

「ムダなサービス精神」がしゃしゃり出てきて、

次第に話はどーでもいいことまで巻き込んでいき、

あれだ、あれ、最初は静かにコーラスやってた後ろのオッサンが

歌ってるうちにだんだん気持ちよくなってきてしまい

ついに主役押しのけて歌い始めちゃったよ、というか、

漫才で言うと定番の、「結局オマエが歌うんかい!」状態に

正直心を痛めていたのだ。

自分でやっておきながら。


それで今回、きちんと部屋を別個にして、

気の済むまでマイクハナサーズしようという次第である。

まあ、やはり「結局オマエが歌うんかい!」ではあるのだけれど。







ということで、個人部屋なので

さっそく話題を変えてしまうが、問題はストレスである。




正直、ストレスが溜まっていた。

ヨメが退院してふぅと一段落した感があったせいなのか

気付けば、心も身もなんだかひどく疲れ果てていて、

私は肩を落として目線低めで歩いていた。

ぼんやりとした「うつ」の気分に包まれていた。



いくつかの本を読んでいて、

がん患者の看護をしていた人が

そのストレスに押しつぶされて、自らもがんを発症してしまった

みたいな記述を読んで、ちょっとイヤな汗をかいた。



無理しないで、とまわりのみんなは言ってくれるが、

当然そういうわけにもいかないわけで、

私はどうやらちょっと背負い込みすぎて、

疲れを溜めてしまったようだった。

「立派なダンナ」に見られようと背伸びしすぎたのだ。

そして、この状態をどうにかしなければならなかった。






ストレスの解消――みんなは、どうやっているのだろう。





これは別にがんとか関係なく、一般的な問題である。


ある人は酒を思い切りかっくらうだろうし、ある人はドカ食い、

延々と長電話、カラオケでシャウト、ショッピングでバカ買い、

バッティングセンター、キャバクラ、海を見に行く、

リストカット、高速ドライブ、洗面所の徹底掃除、

ゲーセンの皆殺しゲーム……まあ、すぐにこれくらいは想像つく。


私だって、ヨメががんになる以前から

こういう対策のひとつやふたつは持っていて、

それは「ひたすらチャリンコをこぐ」「スーパー銭湯」という

実に庶民的かつフィジカルに直接訴えかける手法で、

今まで普通にやってこれているということは、

そんなこんなでなんとかストレスを発散できていたのだろう。


ただ、今回はどうやら、そんな程度では抑えられそうもない。

実際「これまでの手法をさらにパワーアップする」という方法で、

ものすごくひたすらチャリンコをこいでみたり、

ものすごく長時間スーパー銭湯に浸かってみたのだが、

それは単にひどい筋肉痛と湯あたりを招いただけで、

逆に疲れを倍増させてしまった(あたりまえ)。


で、そのことを私が信頼する友人に相談してみた。


この年になったからわかるが、

自分のことは、自分自身より、

自分が信頼できる人のほうがよく知っている。


いい年こいても自分を客観視することは難しく、

ときどき、愛のままにわがままに思い込みのそのままに

トンデモない方向に突っ走って、

人はアチャーと自己嫌悪に陥っても、

歪んだ視界はなかなか直らない。



そして彼が言ったのは


「書くしかないんじゃない?」


ということだった。




つまり「王様の耳はロバの耳」をやるということだ。



なるほどなー、と思った。

まあ、それしかないのか、とも思った。


癒すのではなく、向き合うというやり方だ。

忘却ではなく、迎撃という戦略だ。

そういう形でしか解消できないストレスもあるのだろうし、

そういうやり方しかラクになれない人というのもいるのだろう。



私はこれまで書くことを生業にしていた時期もあったが、

これからは金のためでなく、ヨメのためでもなく、

ただ、自分のために書くという。


はしたいことと思いながら、

今は書くことで、さらにそれを開陳することで

ラクになろうと目論んでいる。




そのために、テーマ分けをして、

わざわざ個室を作ったのだ。


王様の耳はロバのミミ萩原!!!!!!!!!!!!と

髪振り乱して歌う

ここは私だけのカラオケボックスだ。





人が夢中になれるものって案外少ない。