当たり前と言えば当たり前なのだろう、でも、昔からの常連さんに言わせると、ちょっとしたサプライズだ、という。

店から、モニターを撤去したので、開店から閉店までかかっていたプロレスが、姿を消した。

家でも、四歳と一歳の子どもにテレビを奪われたので、ほとんどプロレスを見ることもなくなってしまった。

生活のすべてが、子ども中心になり、営業時間も変えざるを得なくなってしまった。
その分、仕事のクオリティをあげるため、今まで以上に、集中しなくてはならなくなった。

ホットペッパー掲載も、追い風になったのか、やっといい流れがつかめそうになってきた。

ただ、二人続くと、がっつり『持って』いかれる感触が続く。
たぶん、一日の限界は七人。
小顔が入ると、もっと減る。

よく『こんなに揉んでいて疲れませんか?』と聞かれるが、体力的に疲れるということは、あまりない。
そのためのBCAA補給もしているし、たんぱく質もとっている。
しかし、脳の栄養が、足りなくなることが多い。
気がつくと、舌先を出しながら、施術しているときもある。
荒俣宏先生の名作『帝都物語』によると、舌の先には、第三の目があるそうで、集中力が研ぎ澄まされてくると、自然に舌先を出す人もいるそうだ。
『第三の目』かどうかは、定かではないが、使えるものがあるのならば、何でも使いたい。

今日のように、小顔矯正が三人にもなると、こんな時間に目が覚めてしまう。
(子どもたちの布団を直すのに、ちょうどいいが)
セブンイレブンのどら焼きか、ローソンのあんパンか、季節がら、おしるこも甘酒も店頭から姿を消してしまったので、あんこをダイレクトに脳にいれなくてはならなくなったとき、スイーツを食べなくてはならなくなった。

脳の疲れをとるためには、刺激を抑える必要がある。
エキサイティングとかスリリングとかアメージングとか、気がつくと、すべての刺激から目を背けるようになっていた。
今の自分の生活には、プロレスは、それほど重要な位置にはいないようだ。
店から、プロレスが消えるのも、至極当然のことである。

それでも、スケジュールアップの際、レスラーのピンナップを紹介するのは、最後の最後の細やかな意地なのかもしれない。
 とにもかくにも、店からはプロレスが消えたのだ。 
俺のプロレスは、平成の幕引きと同時に終了するかも…。