八十年代から九十年代にかけて、活躍した数多くの有名なレスラーが、次々と天に召されていく。
昨日、マッチョマン・ランディ・サベージが、運転中に心臓麻痺を起こし、事故死した。
派手なサイケデリックなコスチュームにだまされがちだが、実は、緻密なレスリングに加え、四方のコーナーとロープを自由自在に使いこなし、会場にいる観客全員に、プロレスの醍醐味を見せ付けることの出来る完成されたレスラーだった。
レッスルマニアは、WWFの全米制覇のために、ハルク・ホーガンとハルカマニア向けに作られたイベントだった。
ホーガン以外の『その他大勢』のレスラーの中で、サベージは、リッキー・ドラゴン・スティームボードとのインターコンチネンタル戦で、レスリング史上に残る名勝負をやってのけた。
この試合で、別格の大関の地位を手に入れたサベージは、美しすぎるマネージャー、エリザベスとともに、トップレスラーの道を駆け登った。
ホーガンが、映画俳優を目指し、リングを留守にした間、サベージは、ホーガンのいた席に座らされた。
レッスルマニアⅣで、チャンピオンベルトを巻き、全米の顔になった。
しかし、長旅を終えたホーガンが、リングに帰ってくると、サベージとの確執が表ざたになった。
不協和音の原因は、美女の存在と決まっている。
エリザベスを中心にしたサベージとホーガンのトライアングル・ドラマは、レッスルマニアⅤで決着し、サベージは、ベルトとエリザベスを失った。
サベージは、ハクソー・ジム・ドゥガン、ダスティ・ローデス等と抗争を繰り広げ、トップ・ヒールとして、会場をわかせ続けた。
隣にいるのが、エリザベスの代わりに、センセーショナル・シェリー・マーテルをはべらせ、日本にもやってきた。
テンルーとの一戦は、世界のレスリング・シーンで注目され、二十年経った今でも、『語り種』となり、口コミとYouTubeで、広まっている。
ホーガンの後釜に据えられたアルティメット・ウォリアーは、『持ち上げられている』ことに気付かなかった若造で、筋肉ポーズとラリアットだけしか様にならない木偶の坊だった。
ベルトは、ウォリアーから、イラクに魂を売り渡したサージャント・スローターが奪い取り、レッスルマニアⅦで、星条旗を振り回したホーガンの腰に戻った。
それと、同じ日。
ルーザー・リーブ・マッチで、ウォリアーと戦ったサベージは、木偶の坊相手に、30分以上にわたるロングマッチを展開し、全米の度胆を抜いた。
そして、さらなるサプライズが続く。
ウォリアーの塩辛いフライング・ショルダーアタックを受けきったサベージは、見事にスリーカウントを奪われた。
その敗戦を責め、サベージを辱めるシェリーを、殴り倒したのは、会場の端から、颯爽と走ってきたエリザベスだった。
二人は、空白の三年間を埋めるように、すこしずつ歩み寄り、やがて、どちらからともなく、抱き合った。
その時流れた『威風堂々』は、再会を果たした二人の背中を見送る観客の涙を誘った。
観客は、サベージが、誰と試合したかなんて、多分、誰も覚えちゃいなかった…筈だ。
その一年後、レッスルマニアⅧで、フレアーから、ベルトを奪い取り、サベージは、自身が失ったピースの全てを取り戻した。
丸四年にわたるソープ・ドラマは、裏レッスルマニアとして、観客の目を引き続けた。
ドラマが終了し、サベージとエリザベスは、リアルの世界で別な道を歩くことを決断した。
サベージは、ホーガンの後を追い、WCWに移籍し、ドラマにピリオドを打とうとしたが、その視界には、常にエリザベスがいた。
サベージは、ホーガンの影になり、その陰には、エリザベスがつきまとった。
何度と無くベルトを巻いたが、それは記録のうえのことであり、記憶の中ではない。
サベージは、ホーガンとエリザベスのいない世界を捜し求めた。
そこは、リングの外のリアルな世界だった。
再び、サベージをリングにひっぱりだそうとしたホーガンの声を、ずーっと無視し続けた。
サベージは、ようやく、自分の世界を見つけたばかりだったのに。
サベージとエリザベスは、ようやく二人きりになれた。
昨日、マッチョマン・ランディ・サベージが、運転中に心臓麻痺を起こし、事故死した。
派手なサイケデリックなコスチュームにだまされがちだが、実は、緻密なレスリングに加え、四方のコーナーとロープを自由自在に使いこなし、会場にいる観客全員に、プロレスの醍醐味を見せ付けることの出来る完成されたレスラーだった。
レッスルマニアは、WWFの全米制覇のために、ハルク・ホーガンとハルカマニア向けに作られたイベントだった。
ホーガン以外の『その他大勢』のレスラーの中で、サベージは、リッキー・ドラゴン・スティームボードとのインターコンチネンタル戦で、レスリング史上に残る名勝負をやってのけた。
この試合で、別格の大関の地位を手に入れたサベージは、美しすぎるマネージャー、エリザベスとともに、トップレスラーの道を駆け登った。
ホーガンが、映画俳優を目指し、リングを留守にした間、サベージは、ホーガンのいた席に座らされた。
レッスルマニアⅣで、チャンピオンベルトを巻き、全米の顔になった。
しかし、長旅を終えたホーガンが、リングに帰ってくると、サベージとの確執が表ざたになった。
不協和音の原因は、美女の存在と決まっている。
エリザベスを中心にしたサベージとホーガンのトライアングル・ドラマは、レッスルマニアⅤで決着し、サベージは、ベルトとエリザベスを失った。
サベージは、ハクソー・ジム・ドゥガン、ダスティ・ローデス等と抗争を繰り広げ、トップ・ヒールとして、会場をわかせ続けた。
隣にいるのが、エリザベスの代わりに、センセーショナル・シェリー・マーテルをはべらせ、日本にもやってきた。
テンルーとの一戦は、世界のレスリング・シーンで注目され、二十年経った今でも、『語り種』となり、口コミとYouTubeで、広まっている。
ホーガンの後釜に据えられたアルティメット・ウォリアーは、『持ち上げられている』ことに気付かなかった若造で、筋肉ポーズとラリアットだけしか様にならない木偶の坊だった。
ベルトは、ウォリアーから、イラクに魂を売り渡したサージャント・スローターが奪い取り、レッスルマニアⅦで、星条旗を振り回したホーガンの腰に戻った。
それと、同じ日。
ルーザー・リーブ・マッチで、ウォリアーと戦ったサベージは、木偶の坊相手に、30分以上にわたるロングマッチを展開し、全米の度胆を抜いた。
そして、さらなるサプライズが続く。
ウォリアーの塩辛いフライング・ショルダーアタックを受けきったサベージは、見事にスリーカウントを奪われた。
その敗戦を責め、サベージを辱めるシェリーを、殴り倒したのは、会場の端から、颯爽と走ってきたエリザベスだった。
二人は、空白の三年間を埋めるように、すこしずつ歩み寄り、やがて、どちらからともなく、抱き合った。
その時流れた『威風堂々』は、再会を果たした二人の背中を見送る観客の涙を誘った。
観客は、サベージが、誰と試合したかなんて、多分、誰も覚えちゃいなかった…筈だ。
その一年後、レッスルマニアⅧで、フレアーから、ベルトを奪い取り、サベージは、自身が失ったピースの全てを取り戻した。
丸四年にわたるソープ・ドラマは、裏レッスルマニアとして、観客の目を引き続けた。
ドラマが終了し、サベージとエリザベスは、リアルの世界で別な道を歩くことを決断した。
サベージは、ホーガンの後を追い、WCWに移籍し、ドラマにピリオドを打とうとしたが、その視界には、常にエリザベスがいた。
サベージは、ホーガンの影になり、その陰には、エリザベスがつきまとった。
何度と無くベルトを巻いたが、それは記録のうえのことであり、記憶の中ではない。
サベージは、ホーガンとエリザベスのいない世界を捜し求めた。
そこは、リングの外のリアルな世界だった。
再び、サベージをリングにひっぱりだそうとしたホーガンの声を、ずーっと無視し続けた。
サベージは、ようやく、自分の世界を見つけたばかりだったのに。
サベージとエリザベスは、ようやく二人きりになれた。