FMWがデスマッチを売りにし始めて以降、いつでもどこでも誰でも、プロレスができるようになってしまった。

WingやIWAジャパン、海の向こうじゃECW。

デスマッチを売りにする団体が雨後のたけのこのように、はえては消えてきた。

FMWのすごいところは、「デスマッチに持っていくまでの因縁作り」に尽きる。

なぜ、大仁田と後藤が戦わなければならなかったか。

どうして、天龍は、大仁田と電流爆破マッチを戦わなきゃならなかったか。

そういう因縁つくりがすごかった。

80年代後半から90年代中頃は、UWFが大盛り上がりで、外人選手、特に、凶器、流血を売りにする極悪ヒールの需要が減ってしまった。

そこに、目をつけたのが、大仁田だったりするわけで。

ワイルド・ブルマン、リー・ガク・スーあたりの色物から、始まり、ディック・ザ・ブルザーの団体WWAから、グラジエーターやビッグ・タイトン、サブゥーを引っ張り出し、とうとう、伝説のザ・シークやプエルトリコで出稼ぎしていたミスター・ポーゴ、タイガー・ジート・シンを連れてきた。

興業の売りのデスマッチは、「ノーロープ有刺鉄線電流爆破ダブルヘル地雷ボード・テキサストルネード・ストリートファイト・時限爆破デスマッチ」と、新手の早口言葉並みに、付加価値がついてしまった。


UWFが「格闘技」路線でコアなファンをひきつけるなら、FMWは「流血」と「いかがわしさ」で、一般ファンを味方につけた。

いろもの呼ばわりされても、プロスポーツは、金を稼いで何ぼ。


うん、今の大仁田は、興味ないけど、あの頃の大仁田の開き直りは、かっこよかった。


新日本のストロング・スタイル。

全日本の王道。

UWFのリアル。

FMWの邪道。


日本のプロレス界なんて、これだけあれば十分なんですよ。