常連のお客様に、現在、中学三年生の野球少年がいます。
野球少年の大会が終わる度に、関節の調整や筋肉の痛みを取るために来ています。

彼の楽しみは、うちに来て、プロレスのビデオを借りて行くこと。

最初は、プロレスに全く興味が無かった野球少年でした。
たまたま、親御さんが、整体中、待合室で見る漫画の代わりに、『タイガーマスク(アニメ)』を見せたのが、運のつき。
手にしていたゲームを置いて、画面を食い入るように見始めました。
整体が終わっても、タイガーに見入って腰をあげようとしません。
「貸してやるから、持ってきな~」
「いいんですか?」
「いいよ~」

一か月後、タイガーマスク全巻見終わった彼が、店に来ました。
そんな彼に、悪魔の囁きが。
「もっと見たいか?」
「見たいです!」
そんな彼に、わっちが手渡したのは、
『初代タイガーマスク 序章』
当時、小学六年生でした。
最初は、怪訝そうな顔をしていた彼ですが、お父さんが、
「わー、懐かしいなあー、俺も見たいから、借りて行こう!」
実は、お父さんも、昔、プロレス好きだそうで。
それから、一か月後。
目をランランと輝かせて、来店。
『続きが見たいです』と、顔に書いてました。

ので、すかさず、残りの六本を貸し与え、さらに、
『これをあげるよ』
と、紙袋を手渡しました。
中にはいっていたのは、「虎のマスク(バッタモン)」です。

それからが、大変。
同級生に、キン肉マンを持っている子がいたらしく、その子たちの回りで、プロレスブームが。

それから、二年半。
「先生、永田の試合、面白くないよ~」
「天山はシングルより、タッグ向きだよね~」

うちの店の隠し蔵にある新日、全日、ノア、WWEのビデオやDVDを、漁るように見始めて、今では、立派な90年代のプロレス・ファン。

「三沢が死んで、一年経つんだね~」
中学三年生のセリフかよ~(笑)。

最近、わっちは、ビデオの在庫整理を始めました。
二千本近いビデオの分類と処分です。
その中の何本かを、彼に委ねようと思います。

もし、彼が、プロレスをやりたいと言い出したら、EWAのリングを紹介しますよ。
彼は、エースになれると思います。

そんな彼の名前は、『ハラ ケンタ』です!