ちょっと時間がたってしまいましたが、
成田本店しんまち店のねこぜフェアでも紹介した中で、
死ぬほどおすすめな本があったので、
紹介したいと思います。
「なんだ~下北のことだけしか書いていない本か~」
と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
昭和15(1940)年12月4日、
民俗学者の宮本常一が、
オシラサマ(青森の一部に伝わる神様)が
どのような人々にどのように信仰されているかを見聞きするため、
はじめて下北半島を訪れたときのことや、
その数年後にもまた何度か訪れたときのこと、
津軽に行った話が書かれています。
~あとがきから引用~
「国の中央に住んでいる人たちは、端端(はしばし)に住んでいる人たちに対して、
さいはての未開の生活があるようにのみ思ってきた。
そして、旅行案内書にも秘境ものブームがある。」
(中略)
「一方、国のはしばしの人たちも、
自分たちはおくれ、その生活はみじめであると思っている。
長い間の生活がそうさせてきたのだが、
はたしてそうであっただろうか。私は決してそうではないと思っている。
人間の行動半径は意外なほど広い。
下北をあるいていると、
そのことをしみじみと教えられるのである。」
「もとより、多くの古い習俗ものこしている。
しかしそれは、この半島だけのことではない。
日本中に古いことがのこっている。
それが土地によって差があるだけのことである。」
(中略)
「ところが、僻地とよばれるところでは古風だけが強調せられる。
それは都人士の地方人に対する一種の侮辱であり、
またそれによって自らの優越感をたのしんでいるのが、
今日の僻地旅行者の姿であるといってもいい。
ここでは、できるだけ正しく、そこに生きている人たちの姿を伝えたいと思った。」
と書かれているとおり、
決して上から目線ではなく、
下北半島の開拓に奮闘する人を見れば、
「私は、どのようにきぼしい自然であっても
すぐれた英知と企画をもってたちむかえば、
かならず成功することを教えられた。」
と感激したり、
汽車に遅れたためにたちよった駅の待合室に
週刊誌とお茶が用意されていたのを見れば、
「日本のよさがそのまま残っている」
と関心しています。
生きるひとたちの姿を細かく観察しています。
それに、
宮本常一さんは、誰でもわかるやさしい文を書き、
一目で伝わる写真を撮影をモットーにされていた方なので、
お固い本が苦手なねこぜでも、スラスラ読めました!
昔の青森の人々の暮らしを知りたい人には、
ぜひおすすめしたい本です。
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今はこの本を読んでいるので、
読み終わったら、また感想を書きますね!
- 民俗学の旅 (講談社学術文庫)/講談社
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