高齢者のお1人様は2024年には900万人を超え、過去最多を更新中です。
65歳以上の高齢者の単独世帯は全世帯のうちの約14%です。私の周りでもお1人様が急増していますし、数名が孤独死を迎えました。もしもの時のことを具体的に見える化することで、不安や心配が少しでも和らぐことに繋がるとの思いで、一般質問のテーマの一つに取り上げました。
国では2023年に孤独・孤立 対策推進法が制定され、地方自治体においても孤独・ 孤立対策 地域協議会の設置が努力義務となり、 吉川市では重層的支援会議、自立支援協議会など、既存の福祉分野の協議体などを活用して対応を図るとの方針を示しています。
市の体制は理解したけれど、実際そんなことになったら市は何をしてくれれるの?まわりの人たちはどうするの?孤独死はたまたま一人で死を迎えることで、ある意味では誰でもありうること。でも孤立死は社会から切り離された状態であり、こちらは予防策が立てられるのではないか。また、引取り手のないご遺体が増えているらしい。そんな色々を詳らかにしました。
まず、図を見ていただきたいと思います。
市の役割
孤独死・孤立死が発見された場合は、まずは救急隊・警察に連絡が行き、場合によっては医療機関にご遺体が行く場合もありますが、引取り手がいらっしゃらない場合にそれぞれの機関から市に確認依頼が来ます。市はその方の情報を各機関で照会し、関係者に連絡します。
それでも引取り手がいない場合に生活保護法による支援を決定し、葬祭扶助の支援手続きに入ります。葬祭扶助は本人が生活保護だった場合のみに限らず、家族の葬儀だったり、低所得者等、葬儀をあげる費用を工面できないと判断した時に活用されることになります。生活保護を受けていない低所得者の場合は死後に生活保護の手続きをして、葬祭扶助を利用することになります。
葬祭扶助の内容
死体の検案、安置、搬送、火葬、合祀埋葬、遺骨の管理など納骨その他葬祭のために必要なものが含まれ、
1,2給地(越谷)では、大人21万9千円以下、子どもは17万5200円以下、
3給地(吉川)では、大人19万1600円以下、子どもは15万3300円以下
という基準額の範囲で行います。
葬祭扶助費は建て替え前提では使われませんが、のちにご親族や遺産が見つかった場合は生活保護の返還義務が発生することもあり、費用回収をすることになります。
ここには遺品整理は含まれません。「住まい」に関しては葬祭扶助外となるため、市は親族や貸主に必要な連絡を入れ、その後は市が直接関与できない旨を伝えます。
葬祭業者
委託されている葬祭業者は警察や医療機関からご遺体を引取り、葬祭扶助の火葬、埋葬などを行います。
アパートなどの貸主
市が直接関与しないので、アパートの貸主は敷金の中で遺品整理・清掃を行います。人が一人生活をするということは非常に多くのものを所持しています。とても敷金内では収まりません。高齢者への貸し渋りに繋がる論理がここにあります。
引取り手のないご遺体の数(カッコ内は統計書にある葬祭扶助数)
平成27年 5(1)
平成28年 2(2)
平成29年 3(2)
平成30年 2(2)
平成31年 5(2)
(令和元)
令和2年 7(4)
令和3年 9(3)
令和4年 11
令和5年 6
令和6年 18
この数が必ずしも孤独孤立死や葬祭扶助に繋がっているわけではありませんが、引取り手のご遺体が急増しています。問題だと思うのは、家族がいても引き取らない例が増えているということです。人との関係が希薄になっている社会がこうしたところにも影響していると思うと少しぞっとします。
いずれにしても、単身高齢者が増えること、家族間や人々の関係の希薄さなどと相まって、ライフスタイルの変化を止めることは中々難しいところです。若い方の独身者が増えることは将来の単身高齢者 増を促進させることにもなり得ます。そんな中で、大きな負担を抱えることになるアパートの大家さんが高齢者に貸し渋る構造は、高齢者の安心した暮らしから、益々遠のくことになります。
これらの懸念に対する市の答弁
住宅に関しては国も動いてきていて、親族でない方が保証人になる制度や住まいを提供する物件の取りまとめなども進んできています。
しかし、身寄りのない単身高齢者の死後や施設入所、入院時の手続きのなどについては、民間のサービスが始まっているが色々トラブルにもなっているところです。そのような中で、国も公的な下支えを検討しています。具体的には社会福祉協議会を想定して、事前に契約等を交わし、入院、施設入所時や死後の事務手続きを支援する新たな仕組みを創設し、2027年に支援を開始する予定です。
今後、高齢福祉課、包括支援センター、社会福祉協議会、高齢者の相談に乗っているところなど含めて、国の制度設計を踏まえてどのような対応をしていくか考えていきます。 市として、こうしたことを大きな課題だと着目し、情報収集をしていきたい ということでした。
最後に
孤独死は避けられなくても、孤立死は私たちの一人一人の見守りや声がけで予防することができます!現代の私たちはもっと生身の人間同士がコミュニケーションを図り、繋がる努力の必要性を改めて感じました。私が拠点活動をする意味がここにあるとしみじみ思い、これからも、リアルな人、リアルなもの、リアルな感情、リアルな時間などを意識して暮らしていきたいと思いました。
