近年、がんの新薬がこれまでとは異なるレベルで開発されています。つい最近も幾つか報道されました。

「食道がんに腫瘍溶解ウイルス テロメライシン承認」

 

 

 

「膵臓がん治療に生存期間を倍増させる画期的新薬」

 

 

 

 

実はこれまで、「がんは何者か?」よくわかっていませんでした。つまり正体が不明なまま(まだ完全に解明されたわけではありません)治療をしていました。

ゆえに最優先の治療は手術となっていました。手術ができないケースの治癒率や生存率に差があるのもこのためです。

新たな治療法の開発が進みやすくなったのには、次のような環境変化があります。

 

(1)分子レベルでの解析の進歩

遺伝子検査技術の急速な向上などで、がん細胞の遺伝子やタンパク質を詳しく調べられるようになった。どの遺伝子変異でがんになっているのか?が細かく特定できるようになった。それにより、ターゲットに狙いを定めた分子標的薬を設計しやすくなった。


(2)ゲノム解析とAIで見込みのある候補薬を絞る

人の全ゲノム配列が分かり、がんのタイプやがん患者さんごとの大量データに対しAIを使うことで見込みのある候補薬を絞りやすくなった。見込みの高い候補薬から開発することで効率化がはかれる。


(3)免疫のしくみの解明

がんと免疫の関係性が明らかになりつつある。一例が免疫チェックポイント阻害薬。「がんは免疫から隠れている」というメカニズムが解明され、免疫チェックポイント阻害薬の開発につながった。


(4)実験モデルと臨床試験の進歩

人のがんに近い細胞・臓器(オルガノイド)によって、病気の仕組みの解明や新しい薬の効果や副作用の評価の制度が高くなった。動物が使えるようになった。柔軟性のある臨床試験やバイオマーカーで効率的に対象を選別する方法もとられている。


今後もより細分化された新たな治療法が登場するでしょう。

願わくば、あまり高額にならないよう願いたいものです。


*関連記事
「なぜ未だに抗がん剤の賛否論があるのか?」