『贋作 水滸伝』(2011年11月2日~6日・俳優座)観ました。8月の『オートマタ』以来の蓉崇(芸能人なので呼び捨てです。スミマセン)の舞台公演です。前作から一転して今回は大アクション活劇。客席は若い女性でほぼ埋まり、水滸伝→林沖→木枯らし紋次郎、と勝手に連想が進んでしまう私には、戸惑いの隠せない環境でしたが、いざ、幕があがれば次々繰り出されるアクションに約2時間、隣近所を気にする間もなく過ごさせていただきました。
 水滸伝は梁山泊に集う108人のヒーローが世の巨悪と戦う大活劇。今回の芝居では、大悪役・高俅が宮廷の高官から炭鉱を司る役所のトップへと設定を置き換えられ、炭鉱での使役に苦しむ村を舞台に繰り広げられる異説談に仕立てられていました。題に『贋作』が冠されたのはこのためかも知れません。
 さて崇先生の役どころは青面獣と渾名された楊志。楊志は実在したエリート武官であり、楊名時家のご先祖様です。すなわち演者の本当のご先祖様、というわけです。舞台では武術基本功を取り入れた群舞が所々で見せ場を作っていく中、戦闘場面での楊志?、いや、蓉崇?、……同じことですか……の動きが精彩を放ち、とくに身法を細かく使って剣を振る場面、剣が車輪のように回わって美しかったです。本稿を『回る青面獣』と題したのは、この場面の印象がことさら鮮やかだったからでした。

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