西武3000系がデビューから25年を経ての大役 | 新田鉄人「久慈だョ!全員集合」

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難病と闘いながらピンの鉄道芸人、その他で活動する、元本物の鉄道の駅員と電気部、さらに保線の経験を持つ、新田鉄人のブログへようこそ!岩手県久慈市公認、北三陸久慈市ふるさと大使。潜水士の資格取得済。


西武3000系は、池袋線用として昭和58年にデビュー、以来8両固定編成9本が製造され、各駅停車から準急や急行、時には通勤快速としても活躍を見せました。しかしながら、優等列車の10両化が進むと次第に各駅停車で細々と運用される地味な存在となり、新宿線に転出するものも現れました。もはや、活躍の場は各駅停車だけかと思われました。ちなみに新宿線に移った編成は、8両編成の快速急行や急行、準急が多くあったため、元気に働いておりました。
ところが、池袋線にも異変が起きました。地下鉄直通による混雑緩和や少子高齢化、さらには都心回帰現象で再び8両編成の急行列車がよく見られるようになったのです。そして3000系は、以前のような活躍ぶりを再び見せてくれています。
そんな中、とうとう秩父への快速急行の運用を、デビューから25年を経て初めて任されました。これは、それまで使用されていた古い電車が廃車で減少したのと、西武秩父線でも3000系の持つ回生ブレーキが効くようになったことが挙げられます。電車は、車でいうエンジンブレーキのようなものは、モーターから発生した電流を電熱器の原理で自分で熱に換えて放出する(発電ブレーキ)か、他の電車に使ってもらうか(回生ブレーキ)しないと効きません。3000系は回生ブレーキの車両です。運転本数の少ない西武秩父線では、発生電流を使ってくれる他の電車がありません。そうなると、車輪を挟み込んでとまる空気ブレーキしか使えません。空気ブレーキは、山下りの際などあまり連続で使い続けると、車輪を挟むブレーキシューが発熱、効きが急に悪くなってしまいます。現在、西武秩父線には、日本で初めて回生ブレーキで生じた電流を充電して使うエコな装置が付きました。そこで3000系の使用も可能になったのです。
かつて西武電車が赤塗装だった頃のスタイルを持つ3000系。今後も遅咲きの大活躍に期待したいです!