かつて読んだ本シリーズ第9弾。
いつもまったりと仕事しているわたしの場合、ほんのちょっとだけ仕事が忙しくなると、
もう、力尽きてしまい、家に帰るとグッタリ…
それで3日ブログを休む事になりました(^^;
情けないですねぇ。
で、本題ですが、前回、UMA系の本を紹介した関連で、今回もそれに関する本を。
2007年に発行されたハードカバーの単行本でまさにUMA辞典と言った感じの本書。
著者の並木伸一郎氏もUFOやUMAと言ったその筋の専門家の方。
かつて「トンデモ本の世界U」で山本弘氏が紹介していたのでついつい買ってしまいました。
そこは正に世紀のワンダーランド!
170種を超えるUMA達が500ページを超えるページの中にこれでもかと詰め込まれ、
胃酸が戻りそうなくらいのデータ量が味わえます。
既に古典の粋に入っているネッシーに始まり、最近まで話題になっていたスカイフィッシュや
フライング・ヒューマノイドなど、ありとあらゆるUMAが満載です。
しか~し!
本書にはこういったトンデモ本によくある問題も潜んでいます。
そしてトンデモ本じゃなくても出版物として問題な箇所まであります。
では、その問題の代表的な3つの部分をご紹介。
1つ目)誤植の多さ
以下の単語には間違いがあります。
さて、それは何でしょうか?
1番「力メラ」
2番「デー夕」
3番「キ口」
それでは正解です。
1番 ”カメラ”のカが漢字の”力(ちから)”になっている。(”ちからメラ”とか”りきメラ”と読む?)
2番 ”データ”の”タ”が漢字の”夕(ゆう)”になっている。(”デーゆう”?”デーせき”?)
3番 ”キロ”の”ロ”が漢字の”口(くち)”になっている。(”キくち”?)
どうですか?わかりましたか?
実はこれはほんの一部です。ほかにも類似の誤植がいくつもありました。
一瞬、見ただけでは気づかないかもしれませんが、いくつも出てくるのでだんだん気づいてきます。
なぜ、こんな誤植が生まれたのか。
わたしの勝手な解釈ですが、これだけのボリュームですから、過去に書き溜めてきた原稿をかなり使ってると思います。
それをスキャナで取り込んで文字認識ソフトを通してワープロ原稿に落としたと思いますが、その時の認識誤りを取り切れなかったのではと思います。
おそらく最初は相当量の誤植があったんでしょう。
何とかがんばって潰していったんでしょうが、それでもまだ多すぎです。
こういった部分は極力排除しないと、ただでさえ低い信憑性がドンドン落ちていきます。
これは著者というよりは編集側の責任という気がします。
出版は学習研究社。あの「ムー」の出版社です。
担当も「ムー」の編集担当かと思いますが、もうちょっと真剣にやって欲しいですね。
あと、誤植ではないですが、UMAの目撃者の名前で、「○○・マックとドナルド・××」ってマクドナルドから?
とか「コス・ギーン氏は」って小杉?とか、何だか適当に作ったんではないかという気がする人名があったり…
(まぁ、疑えばきりが無いですが)
2つ目)論理矛盾
こういったトンデモ本にありがちなのが、言ってる(書いてる)事のつじつまが合わない事が多いという事。
たとえばスカイフィッシュ。
細長い棒状の体の両側ついたひだを高速に羽ばたかせる事で時速300kmものスピードで飛び回るというUMA。
あまりに速いので肉眼では見えず、ビデオカメラなどでたまたま映ったものが確認できるというもの。
(カメラ前を横切るハエなどの映像が、これと同じ状態で見えるという事がわかっていて、コレでしょっという説が有力。)
で、これが1000年以上前の遺跡の壁画に酷似したものが描かれているので、昔からいたのでは、
と匂わせるような説明がありますが、ビデオカメラ無いでしょその時代(^^;
それとダブルスタンダード。
ある時はAが正解、別の時はBが正解と、その時々によって主張を変える事ですが、ここでも良く出てきます。
まずは「ジャイアント・スネーク」の話。
全長40mの大蛇ですが、巨大化したアナコンダ説が有力とする著者は、専門家の「アナコンダが10m以上になる事はまず無い」という説への反論として、
「水棲生物は突然変異で巨大化する事があるので40mのアナコンダがいても不思議ではない」と一蹴してます。
アナコンダを水棲生物とする事自体に無理がありそうな気がしますが、まずはこういう説を唱えます。
次に「イッシー」の話。
これは鹿児島県指宿市の池田湖に生息するという20mの巨大生物。
そもそもそこには全長2mにもなるオオウナギというのが生息しているそうで、このウナギのでかいヤツがいるのでは?という説があるそうです。
で、著者がこの説に反論して言うには「オオウナギはせいぜい2mにしかならないのでそんな大きなものはいない。」と一蹴してます。
さっきは「水棲生物は巨大化する」と言っていたのに、ここでは「ありえない」になってますが、それで良いんですか?
ウナギの方がよほど水棲生物巨大化理論にマッチする気がしますが…
3つ目)調査姿勢の不思議
UMAと言えば、たいていは「姿を見た」「鳴き声を聞いた」「足跡があった」「体毛が落ちてた」「写真に撮った」「ビデオにおさめた」と言った報告がほとんど。
たまに実物が捕まったり、死体を見つけたりしますが、それはすぐに逃げられたり、死んだりし、死体はいつのまにかどこかに行ってしまったりします。
なので決定的な調査が行われずじまいになります。
ところが本書の中に1つだけ、生きた実物が未だに存在しているという稀有な例が紹介されています。
それが「ケサランパサラン」です。
UMAというか妖怪として有名な、タンポポの綿毛の部分だけのような体をした、白粉を主食とする不思議な物体で、見ると幸せになれるという言い伝えがあります(「地獄先生ぬーべー」でおなじみ)。
こんな貴重なチャンスは滅多に無いですからさぞや徹底的に調査するかと思えば、扱っているのは巻末の2ページ半のみ。
あっさりと、こんなのいますで終了。
それにひきかえ、イタズラしてましたと暴露された「ネッシー」は巻頭30ページの大特集をしてます。
つまり、不思議は不思議のまま話を膨らませていくのが仕事で、結果は知りたくないという事でしょうか。
こう言ったところが実に残念なんですよね。
と、まぁ、問題点ばかりあげつらっているようですが、本書にも良い所はあります。
冒頭で述べたように、圧倒的な物量です。
これだけのUMAを一冊で知る事が出来るというのはすばらしい。
この手の話に興味があって多少の出費が我慢できるという人は正に買いです。
ちなみに本書は税込み3,990円。
これを高いと思うか安いと思うかちょうど良いと思うかは、あなた次第です!