T19「・・・以上が志望理由です」
社長「成程!両親のお世話と、キャリアの継続と、趣味と。立派やね!もちろん来てくれはるんは大歓迎ですわ」
T19「ありがとうございます」
社長「ただね、ウチは店回さなあかんし、飼育だけっちゅうわけにはいかんのっすよね。鳥飼って、捌いて、売って、全部やる必要があります。まずは解体からスタートかな」
T19「か、解体ですか・・・」
社長「ま、ちゃんと研修するさかい大丈夫ですよ」
7月2日、昼まで釣りして、夕方実家に顔出すまでの間、実は仕事の面接に行ってました。
伺ったのは滋賀の鳥肉専門店。飼育~販売までを自社でこなし、私が前に食して感動した地鶏もみじはここの商品。
お店が正社員募集してるのを見付け、経験を活かせそうだし、実家から近いし、手当も充実してるし、迷わず応募。
自分で言うのもなんですが、人材不足の養鶏業界において、20~30代の経験者、つまり私みたいのは貴重な存在。
だから私T19、「それなりに活躍できるだろう」と高を括っておりました。
・・・が、私が8年やってきたのはあくまで卵鳥の飼育。
卵鳥も肉鳥も『ニワトリ』であることに変わりなく(セントバーナードもチワワも『イエイヌ』なのと一緒)、飼うだけならそんな変わらんはずですが、❝捌く❞となると未知の世界、❝売る❞ってのは苦手な接客業で、一気に自信無くなってしまう・・・。
でもやっぱ、実家から通えてすぐ側に琵琶湖って立地は捨て難く、取り敢えず内定は頂けたから、そのお店で働くことを決意しました。
そんなわけで採卵場を退職。7月31日、愛知県岡崎市に最後の別れを告げ、滋賀県大津市へ向かいます!
高速の三重ルートが1番早いのですが、時間はあるし岐阜ルートから長浜まで行って下道に降り、高島より琵琶湖西岸を南下。
釣れそうなポイントが次々目に映り、タックルを車に積んではいるものの、暑くて釣りする気は出ません・・・。
車内温度すらエアコンMAXにしても30度以下に下がらんし、ホント今年の夏暑過ぎ!
今津らへんにて、ある床屋さんの軒先にデカい怪獣の像が立ってて、1度は何の気無しに通り過ぎるも、「あれ?あの怪獣、見覚えあるぞ?」と気付き、気になってUターン。
ゴジラ体型の実にオーソドックスな怪獣。何か既視感あるんよなぁ。
よく見たら怪獣が乗ってる台に擦り切れた文字で何か書いてある。
びわ湖タワー・・・そうか!想い出した!お前壊されずに済んだのか!随分色白になっちゃって!
かつて、琵琶湖大橋の西に『びわ湖タワー』って遊園地があったんですよ。
遊べて、宿泊もできた太っ腹な施設で、招き猫ならぬ招き怪獣として橋のすぐ側に立ってたのがコイツでした。
守山へ行く(=橋を渡る)時はいつも見送ってくれて、大津に帰って来た時は出迎えてくれた、アイツ。
びわ湖タワーは2001年に潰れちゃって解体され、怪獣像も姿を消してしまったのですが、こんな所で再会できるとは!
センチメンタルな気分でドライブを続け、実家着。夜になり涼しくなったのを見計らって釣りに出発です!
mazumeのアップデート装備で、先日から楽しませてもらってる河川ポイントに突入!
真夏のバスは夜行性個体が多くなる。まずは中層をコンバットクランク250で攻めるも無。
DXフリー3でもう少し潜らせたら、川底の岩々の凸を掠める、良いレンジに当たりました!ルアーが岩を突いた瞬間バイト!
T19「39センチ!」
ティンバー「この場所ええな!50アップ居るやろ!」
T19「ボトムの凹凸の凹、それも流れの中なら」
ティンバー「ウチが行ったろ!」
T19「お前じゃもう1つかも」
ティンバー「何でや!ウチゃ速攻で5メーターぐらい潜るで!」
T19「潜るスピードより、浮くスピードが大事な気がする。流れに負けない浮力・・・マグナムヘルベンダー、コイツにしよ」
ティンバー「久々の出番や思うたのに」
T19「流れに乗っけてルアーを送る。流れのヨレで潜らせる。で、ボトムを叩く」
ガチッ
ティンバー「あ~あ、根掛かりちゃうの?」
T19「って思うじゃん?」
フワー・・・ガツン!
HIT!引きが重々しくてナマズっぽい。まぁ狙い通り食わせたことは魚種関係無く嬉しいもんです。
と思ったら浮上したのはバス!しかもデカい!見事な大口にビビりつつハンドランディング!
よっっっしゃ!こりゃランカーだろ!?
ルアー外して計測・・・52センチ!?キター!9年振り、30代初、令和初の50アップバス!大満足で納竿できました♪
翌8月1日は昼から両親に連れられいきなりステーキへ。
「就職のお祝い」と言われ食わせてもらったのは、400グラムのリブロースステーキ!
栄養制限してる私にとっては圧巻のボリューム飯!
それでも肉汁が溢れる度に広がる濃厚な旨味が幸せ過ぎて、何やかんや完食(お蔭で晩飯は蒟蒻になったけどw)。
夜は自室の片付け。古いアルバムが出てきて、幼少期の私の写真を大量発掘。
結局片付けは進まず、おぼろげな想い出を懐かしんでおりました。
T19「コレはチャリで南湖1周した時の。この頃から格好付けで冒険好きだったんだよなぁ」
白「これも大津?今と全然街並みが違うね」
T19「大津は洒落た街になってきてるよ。俺が居なかったここ数年間は特に」
白「でもこうして戻って来て、養鶏も続けられるんだし良かったじゃん」
T19「だよなぁ、いよいよ明日から勤務開始か・・・ヤバい!今何時!?」
白「22時」
T19「寝にゃいかん!」
翌8月2日。朝5時に家出て車で10分ちょっと走り、新しい職場へ!
「きっと活躍できる!」と、期待に胸を膨らませ出社!すると社長がマスク、エプロン、大小2本の包丁を差し出す。
ある部屋に案内され、入ると強烈な洗剤の匂い、鳥肌が立つ冷気。巨大なまな板が何枚もある。
やがて先輩達が出社され、挨拶こそすれ皆忙しそうで、落ち着いて自己紹介できる空気じゃない。
程無く部屋に運ばれて来たのは、頭と羽毛が無い、いわゆる丸鶏。なんだけど、首に血が滲んでて、所々毛が残ってる。
そんなのが何十羽も運び込まれると、2名の先輩が次々に鳥の解体を始め、他メンバーの前に脚と胸の部分を配っていく。
私の前にも脚4本、胸4枚が置かれ、横に立ってた先輩が「ほな切ってこか」と。
先輩は凄い速さで脚と胸に切り込みを入れて骨を綺麗に抜き取り、肉を細かく切り分け、「こんな感じ」と一言。
状況が全く掴めないまま、右手で包丁を掴み、左手で鳥の脚を掴む・・・メッチャ暖かい・・・。
刃先が上手く入らずオロオロしてたら、先輩の1人が私に、「牛刀使たらあかん!」と叫ぶ。
・・・俺、怒られた・・・の?
それからも「バットこっち!」、「カッパ残せ!」等と言ってくる先輩達だけど、みんなマスクしてて表情が読めないし、何に対しての注意なのかも解からず、涙目になり半ばパニック状態な私T19、ひたすら見様見真似を続け午前業務が終了。
昼休憩は75分とのことで、私は指定されたベッドに倒れ込んで仮眠、と言うより気絶。
休憩明け、私の前に細身のお爺ちゃんが来て、「♂の部屋からやろか」と言われるまま、木造の建屋に入ると・・・。
一斉に振り向く、大柄なニワトリ達。毛並の良い1羽がズシズシ歩いて来て、私にガン飛ばし、「コァァァッ!」と一声。
・・・へへっ、解かる。解かるよ。「おい新入り、オレがこの群れの長だ」って言ったんだろ?
今日会った中で、お前の言葉が1番解かり易い。
今回の決まり手:プロガイドIM6+カルカッタ200XT+ナイロン25ポンド+DXフリー3.0、マグナムヘルベンダー