T19「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァ！ウ゛ア゛ア゛ァァァ！」
スクリーム「うるせー！近所迷惑でしょうが！」
T19「･･･スクリーム、デートできることになったんだが？」
スクリーム「は゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ！？」
スクリーム「びっくりしたよー、よくやったね旦那」
T19「アプリで出会ったばかりの子だけど、「文字でやり取りするよりまずは会いたい」って言ってくれて」
スクリーム「どれどれ？･･･顔写真出してないし、横文字の多いプロフィールね･･･怪しくない？」
T19「女性からのお誘いは問答無用で受けるべし」
スクリーム「あんた前回何があったか覚えてる？」
T19「俺は男だ。失敗など恐れない」
T19「日時は３月24日19時。指定された居酒屋はここ。花見目的で人が乙川周辺に流れてて、混雑する恐れは無いな」
スクリーム「へー、センス良いお店じゃん！」
T19「万が一、店の外で何らかの勧誘、セールス、その他不審な事象に巻き込まれた場合、南へ900メートルの地点に警察署があるから、そこへ逃げ込める。また少々リスキーだが、東へ800メートル走れば矢作川河川敷。得意のアンブッシュ戦に持ち込める。この近辺に住んでる会社の先輩にも、当日野暮用でこの店に居ることを知らせておいて、いざとなれば助けを求める。どのパターンを選ぶかは現地での状況次第だ」
スクリーム「めっちゃ失敗恐れてる･･･」
と言うわけで、今年から本格的にやってるマッチングアプリにて、遂に初デートに漕ぎ着けた私T19ですが、お相手の情報が❝猫大好きで釣りに興味有りの身長170センチ29歳女性❞とメッチャ断片的で、期待３割不安７割って感じです（笑）。
T19「ってか、デートって何すりゃ良いんだろ･･･」
ラスカル「どうして僕に相談しないんだい？」
T19「お前！」
ラスカル「何か面白そうなことになってるじゃんマスター」
T19「お前が関わると事がややこしくなるから出て来なくて宜しい」
ラスカル「何でだよぉ、男同士だろ？僕なら的確にアドバイスしてあげるのに」
T19「どうせ何か企んでるんだろ」
ラスカル「僕ほど女の子にモテたルアーは居ないと思うけどなぁ。女心もそこそこ解かるつもりだけどなぁ」
T19「･･･」
そしてデート当日。
ラスカル「身嗜みはOKだね！」
T19「いや、まだ身長が足りない」
ラスカル「それはどうしようもないよ」
T19「いいや！相手が170センチあるのに俺は163センチ。７センチ差って侘しいぞ。故に、今から急速に大きくなる必要がある！こんな時のためのコンバース！」
T19「巨大化完了！168センチになった！」
ラスカル「それでも170いかないのか･･･」
現地着。小さな居酒屋ですが繁盛してる様子。
針を取ってキーホルダーと化したラスカルを連れ、店の前で相手を待ちます。あ～緊張する。就活の面接より緊張してる･･･。
T19「ホントにサポートしてくれるんだろうな？」
ラスカル「もちろん！僕の声はマスターにしか聞こえない。気まずくなったら僕の言う通りにしてごらん」
T19「よし。後は、宗教の勧誘じゃないことを祈」
「すみません」
T19「あ、はい！？」
声を掛けられ振り返ると、若い白人女性でした。この辺は外国人労働者が多く、道を尋ねられることは珍しくありません。
矢作橋駅を探してると見た。
「T19さんですね？初めましてNといいます」
T19「え゛え゛ぇぇぇ！？」
プロフィールの文章がルー大柴みたいだった謎が解けました。まさか外国人だったとは･･･。
取り敢えず店に入って座ると、向こうから自己紹介を始めてくれました。Nさんは日本へ来て２年目のドイツ人だそう。
T19「僕は岡崎でニワトリ育てて卵売る仕事してます！Nさんは何を？」
Nさん「にわとり･･･chickenのことですね！私は自動車部品作る仕事です！」
T19「あぁトヨタ関係ですか！日本語もペラペラだし絶対頭良いでしょ！」
Nさん「No,no･･･私の日本語はまだ伝わり辛いですよ」
T19「いやそんなこと（いかん！次何話せば良いんだ！？）」
ラスカル「料理頼むんだ」
T19「何か食べるの頼みますか！」
Nさん「そうですね！私は海の魚あまり食べたことなくて興味あるんですが、美味しいのありますか？」
T19「え～っと･･･こういう時は店員さんに聞きましょ！すいませ～ん！」
店員さん「はいどうぞ！」
T19「魚料理で今日のオススメは？」
店員さん「タルイカの刺身です！」
T19「じゃあそれで！」
ラスカル「マスター！イカは良くない！」
T19「美味いんなら良いじゃんか別に･･･Nさんも好きなのどんどん頼んで下さいね！」
流石、異国で就職して１人暮らししているだけあって、Nさんのコミュ力は半端ではなく、会話を途切れさせず、自分語りし過ぎず、日本人の私より日本語会話が上手いです。
店員さん「タルイカです！」
Nさん「Oh！お菓子みたいに見えますね！頂きます･･･ヴッ！No！私これは無理です」
T19（え゛！何で！？･･･イカ美味しいじゃん･･･）
ラスカル「だから言ったろ？欧米ではイカを食べる習慣が無い。刺身なんて以ての外だよ」
T19「あぁNさん、それじゃイカは僕が貰いますよ！･･･美味いけど、モチっとしてる」
ラスカル「ちなみに４年前の境港で白太郎を追って来た巨大イカは、アオリってことにされてるけど、状況からしてほぼ間違い無くこのタルイカだよ」
ラスカル「実はマスター、日本最大のイカを釣るまであと１歩だったんだ。あの時は敢えて言わなかったけどね」
T19「そうだったの！？」
Nさん「What？」
というハプニングがあったものの、後から唐揚げとか野菜炒めとかの定番料理が来てNさんも食事を楽しんでくれました。
そして、プロフにあった❝釣りに興味有り❞って話は本当だったらしく、ドイツでは釣りを始めるのにもライセンスが必要で敷居が高く、日本では是非釣りをしたいと思い、岡崎在住のアングラーである私に目を付けてくれたそう。良いセンスしてるね！
Nさんのコミュ力のお蔭で全く会話が途切れず、気が付けば３時間（！）、そろそろお開きにすることに。
「割り勘にしますか」と言ってくれたけど、ここは格好付けたいので私が全て払いました。お蔭で財布は悲惨な状況ですが。
ラスカル「さぁマスター、LINE交換で次に繋げるんだ！」
T19「今日は楽しかったです。機会があれば、今度は釣りに行きましょう」
Nさん「もちろんお願いします！」
ラスカル「どうしたマスター！早くしないと次が」
T19「ラスカル、それは俺が決めるべきことじゃない･･･それじゃあNさん、ありがとうございました」
Nさん「T19さん！LINE交換しましょうよ！アプリよりsmoothですよ」
T19「良いんですか？」
Nさん「T19さんの話聞いてたら、難しそうだけれどtrout fishing勉強したくなったので、また連絡しますね」
T19「･･･はい！」
４月。桜が散り、雨が降る日に１人、滋賀県高島市の渓流へ。初めての川ですが、衛星写真見ればどこが狙い目か察しはつく。
･･･うん、デートより遥かに簡単だよ、トラウトフィッシング。
今回の決まり手：アモルファスウィスカー・ファントム562ULF＋月下美人MX＋ナイロン４ポンド＋プエラノ45S