誰にでも時間厳守の用事というものがある。
僕は11時までに必ず行かねばならない約束があった。
とても大事な事なので10分前には到着するよう余裕をもって家を出た。
我が家のマンションには1機のエレベーターが搭載されている。
難なくエレベーターに乗り込み、自転車に跨り、颯爽と目的地へと急いだ。
しかしふとした瞬間、エアコンの電源を切り忘れたことを思い出しだ。
これはまずい。
用事を済ませ家に戻る頃には電気代がえらいことになってしまう。
そう思った僕は苦渋の決断で再び家に戻ることを選んだ。
マンションの下からエレベーターのボタンを押したのだが、
ツいてないことにエレベーターは下から上へ最上階へと猛進していく途中であった。
時計を見ながらどうしようもない待ち時間が僕を苛立たせる。
こんなことで遅刻をしてしまったら目も当てられない。
最上階に到達し、人を乗せたエレベーターはゆっくりと下降しだした。
とにかく動きが遅い。
何度もこのポンコツをどつきたい衝動に駆られたが、殴った所で早く着くわけもない。
それどころか万が一打ち所が悪く壊れてしまったら…
困るのは僕だ。
結局、奥歯を噛み締め、意味もなく拳を握りしめる事しかできない。
一度別の階で止まりようやく一階に到着した。
急いで乗り込み僕は部屋へと急いだ。
部屋に入り、合理的かつ迅速な動きでエアコンの電源を切り、再びエレベーターへと急ぐ。
幸運にも無人のエレベーターは僕の帰りを待ってくれていた。
ボタンを押そうと手を伸ばした瞬間、無常にもエレベーターはゆっくりと下へと降りていった。
…
神はいないのか…
アカギは死ぬ間際言った。
「愛していた…無念を!」
…と。
…愛せねぇよ。