さて、「ポケモンGOの飛躍により任天堂の業績が変化するかもしれない」という期待から株価は大きく上昇しました。
しかし、『ポケモンGOに沸く任天堂の業績は本当に復活するのか』でもお伝えしたように、任天堂が大きな業績インパクトを享受できる仕組みにはなっていないと見ることもできます。
では、これほどまでに世界中で熱狂的に受け入れられているポケモンGOを、なぜ任天堂と株式会社ポケモンだけで取り組まなかったのかという疑問が湧いてきます。
確かに、Niantic(ナイアンティック)は既にIngress(イングレス)として位置情報を活用した陣地取りゲームで実績がありました。
ポケモンGOを短期間で立ち上げようと思えば、ナイアンティックと協業してプロジェクトを進めるメリットが多分にあったのでしょう。
これまでの任天堂のゲームへの取り組みを振り返ると、なぜポケモンGOに関して開発・販売元をナイアンティックとし、任天堂や株式会社ポケモンはナイアンティックの株主になることを選択したのかが読み解けるのではないか、考えてみます。
では、なぜこのタイミングで発表したのでしょうか。
任天堂の2017年3月期第1四半期の決算発表は7月27日に予定されていますが、それまでにポケモンGOによる影響の様々な憶測を払拭しておきたかったのかと思います。
また、投資家などから任天堂の窓口であるIR部門に多くの質問が来たでしょうから、その回答をしたという見方もできます。
いずれにせよ、任天堂のコメントの中で気になるのは、「直近の状況を鑑みても、現時点では、当業績予想の修正は行いません」という箇所です。
確かに第1四半期は4月から6月までであり、ポケモンGOがリリースされた7月の影響分は入っていないでしょう。
ただし、任天堂が強調しているのは、足元の状況を見ても、2016年度上期や通期の業績修正は行わないというものです。
というのは、ポケモンGOが任天堂に影響を与える収益部分については、持分法適用会社である株式会社ポケモンの今後の決算について任天堂から予想を出すものでもありません。
また、ポケモンGOプラスは今後発売していくものですから、現時点で業績予想を見直す状況にないということでしょう。