歴史人物・・・「ルキウス・ユニウス・ブルートゥス -共和制の創始者-」
ルキウス・ユニウス・ブルートゥス (BC545?~509)
共和制ローマ初代執政官 (BC509)
今回は、タルクィニウス王を追い出し、最初の執政官となったブルートゥスの話や。
ブルートゥスというと、「ブルートゥスよ、お前もか」の人が有名ですね。
カエサルを暗殺した男やな。これから話す人物はそいつの祖先ということになっとる。一応な。ちなみに、「ブルートゥス」という名は、もともと「愚か者」って意味の渾名だったんやで。
え? バカだったの?
いや、決してそんなことはない。ブルートゥスは元々マルクスという大富豪の次男だったんやが、そのマルクスが死んで、残された財産を相続しようというとき、それに目をつけたタルクィニウスに長男は殺されてしまったんや。一方ブルートゥスのほうは大人しく降服するほうを選んで、そのままタルクィニウスの配下に入ったんや。
タルクィニウスは前に話したように、極めて横暴な性格で、自分の地位を脅かしそうな人物を次々と抹殺していったから、ブルートゥスはあえて愚鈍なふりを続けていたという話や。
なーるほど。じゃあ本当は頭いいんだ。
ああ。彼の聡明さを表すエピソードにこんなのがあるで。
ある時、ブルートゥスはタルクィニウスの息子二人と共に、デルフォイの神殿を訪れたんや。そこで神官に、「3人の中で、最初に母に口づけする者が、ローマで最高の権力を得るだろう」といわれたんや。息子二人は自分たちの母親に口づけするために先を争って帰っていったが、ブルートゥスのほうは途中で派手にすっ転んで顔を地面に打ち付けたんや。
顔を・・・? あ、もしかして・・・
気がついたか? 神官の言った「母」ってのは実の母親のことやない。「万物の母」である女神ガイア、つまり「大地」のことなんや。ブルートゥスはそのことに気づいて、わざとこけたんやな。
さて、そんなふうに愚鈍を装っていた彼やが、いつのまにかタルクィニウス王の副官という地位にまで上り詰めとった。おそらく無能なほうが制御しやすいとでも思っとったんやろな。
ところがそれが裏目にでたと。
うむ。そして運命のBC509年、タルクィニウスはローマの守りをブルートゥスに任せ、遠征に出かけたんや。
そこにあの事件が起きるわけですね。
そうや。ブルートゥスは反体制派の貴族たちに呼びかけて反乱を起こし、国王一派を追放、共和制の樹立を宣言して初代の執政官の一人に就任するんや。
執政官て一人じゃないの?
執政官は1年任期で2名づつ選出されるんや。ちなみにもう一人の執政官は、死んだルクレツィアの夫だったコラティヌスや。
さて、共和制の樹立を宣言したはいいものの、事はそう簡単には運ばん。王政のほうがいいと考える者はまだまだ多く、中にはタルクィニウスの復位を目論む連中も出てきたんや。その中に、なんとブルートゥスの息子も入っていたんや。
え!? 何でですか?
タルクィニウスの放ったスパイに篭絡された・・・という説が有力や。ブルートゥスは苦しんだ挙句、息子の処刑を命じることになるんや。
「ブルートゥスの元に運ばれる息子の遺体」(ダヴィッド画 ルーブル美術館所蔵)
ひどい話ですね。
まあな。このことが原因でブルートゥスはタルクィニウスを憎悪するようになり、タルクィニウスがエトルリア軍と共にローマに攻め寄せたとき、身の危険も顧みずに先頭にたって突撃し、タルクィニウスの息子の一人アルンテスと相討ちになってしまうんや。
・・・気持ちはよくわかりますが、指導者としてそれはどうなんでしょう・・・?
関連人物
ルキウス・タルクィニウス・コラティヌス (?~?)
ブルートゥスと共に最初の執政官に選出された人物よ。ルクレツィアの夫だったというだけで選ばれただけで、能力的には平凡で、しかもタルクィニウスの身内だったもんだから人望を得られずにすぐ退任しちゃったわ。
アルンテス (?~BC509)
共和制ローマ初代執政官 (BC509)
今回は、タルクィニウス王を追い出し、最初の執政官となったブルートゥスの話や。
ブルートゥスというと、「ブルートゥスよ、お前もか」の人が有名ですね。
カエサルを暗殺した男やな。これから話す人物はそいつの祖先ということになっとる。一応な。ちなみに、「ブルートゥス」という名は、もともと「愚か者」って意味の渾名だったんやで。
え? バカだったの?
いや、決してそんなことはない。ブルートゥスは元々マルクスという大富豪の次男だったんやが、そのマルクスが死んで、残された財産を相続しようというとき、それに目をつけたタルクィニウスに長男は殺されてしまったんや。一方ブルートゥスのほうは大人しく降服するほうを選んで、そのままタルクィニウスの配下に入ったんや。
タルクィニウスは前に話したように、極めて横暴な性格で、自分の地位を脅かしそうな人物を次々と抹殺していったから、ブルートゥスはあえて愚鈍なふりを続けていたという話や。
なーるほど。じゃあ本当は頭いいんだ。
ああ。彼の聡明さを表すエピソードにこんなのがあるで。
ある時、ブルートゥスはタルクィニウスの息子二人と共に、デルフォイの神殿を訪れたんや。そこで神官に、「3人の中で、最初に母に口づけする者が、ローマで最高の権力を得るだろう」といわれたんや。息子二人は自分たちの母親に口づけするために先を争って帰っていったが、ブルートゥスのほうは途中で派手にすっ転んで顔を地面に打ち付けたんや。
顔を・・・? あ、もしかして・・・
気がついたか? 神官の言った「母」ってのは実の母親のことやない。「万物の母」である女神ガイア、つまり「大地」のことなんや。ブルートゥスはそのことに気づいて、わざとこけたんやな。
さて、そんなふうに愚鈍を装っていた彼やが、いつのまにかタルクィニウス王の副官という地位にまで上り詰めとった。おそらく無能なほうが制御しやすいとでも思っとったんやろな。
ところがそれが裏目にでたと。
うむ。そして運命のBC509年、タルクィニウスはローマの守りをブルートゥスに任せ、遠征に出かけたんや。
そこにあの事件が起きるわけですね。
そうや。ブルートゥスは反体制派の貴族たちに呼びかけて反乱を起こし、国王一派を追放、共和制の樹立を宣言して初代の執政官の一人に就任するんや。
執政官て一人じゃないの?
執政官は1年任期で2名づつ選出されるんや。ちなみにもう一人の執政官は、死んだルクレツィアの夫だったコラティヌスや。
さて、共和制の樹立を宣言したはいいものの、事はそう簡単には運ばん。王政のほうがいいと考える者はまだまだ多く、中にはタルクィニウスの復位を目論む連中も出てきたんや。その中に、なんとブルートゥスの息子も入っていたんや。
え!? 何でですか?
タルクィニウスの放ったスパイに篭絡された・・・という説が有力や。ブルートゥスは苦しんだ挙句、息子の処刑を命じることになるんや。
「ブルートゥスの元に運ばれる息子の遺体」(ダヴィッド画 ルーブル美術館所蔵)
ひどい話ですね。
まあな。このことが原因でブルートゥスはタルクィニウスを憎悪するようになり、タルクィニウスがエトルリア軍と共にローマに攻め寄せたとき、身の危険も顧みずに先頭にたって突撃し、タルクィニウスの息子の一人アルンテスと相討ちになってしまうんや。
・・・気持ちはよくわかりますが、指導者としてそれはどうなんでしょう・・・?
統率 | 政治 | 戦闘 | 智謀 | 魅力 |
81 | 63 | 72 | 80 | 75 |
関連人物
ルキウス・タルクィニウス・コラティヌス (?~?)
統率 | 政治 | 戦闘 | 智謀 | 魅力 |
43 | 36 | 51 | 56 | 48 |
ブルートゥスと共に最初の執政官に選出された人物よ。ルクレツィアの夫だったというだけで選ばれただけで、能力的には平凡で、しかもタルクィニウスの身内だったもんだから人望を得られずにすぐ退任しちゃったわ。
アルンテス (?~BC509)
統率 | 政治 | 戦闘 | 智謀 | 魅力 |
28 | 21 | 72 | 26 | 25 |
ブルートゥスと相討ちになったタルクィニウスの息子の一人だよ。
参考文献 「ローマ人の物語1 ローマは一日にしてならず」 塩野七生
「古代ローマ歴代誌」 フィリップ・マティザック
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