先日、藤田祐子先生から電話がきた。
「12日(日曜日)に、母「藤田 紀子」が亡くなりました。」と、突然の訃報に全く声が出なかった。
ポツリと
「お悔み申し上げます。」としか言えなかった。
私が藤田紀子先生と出会ったのは、25年前である。
探偵になった私は、藤田先生の事務所を飛び込み営業したのである。
当時(今でもそうだが)探偵なんて胡散臭い業界だ。しかし先生はおおらかに、「顧問契約はしないけど、なんかあったらあなた相談に来なさいよ。」とあの笑顔で私に話しかけてくださったのが最初である。その日から私は紀子先生を勝手に師と思っていた。
最初の2~3年はずいぶんと依頼者と同席してお話を聞いた。
私がまっとうな探偵でいられたのは、藤田紀子先生がいたからだと言っても過言ではない。
紀子先生は基本探偵が嫌いである。(笑)
探偵はお金が高い!調査報告書がひどい!〇〇探偵って松本君知っている?あなた、その後のマズイ調査の追加できる?
などと、探偵業界に対する評価は低かった。
「でもね、探偵ならガルエージェンシー。ただのガルエージェンシーでもダメなの、探偵は松本君なのよって、私は他の先生に言っているのよ。」と私を数年に1回褒めてくれるのである。
数年に1回のその言葉が聞きたくて、私はまっとうな探偵でいられたのである。
仙台で私が評価を下げたら、紀子先生に迷惑をかけるし、下手な調査をすれば速攻で紀子先生から電話が来る!(笑)
歯に衣着せぬ物言いではあるが、あの女性らしさや、依頼者側のスタンスに立つ市民感覚は、紀子先生が私にとってはめざしたい輝く遠い星である。
紀子先生、私も探偵25年になっちゃいましたよ!
あら、そうなの?それじゃ私も25歳年をとったの?あなたと最初に会った時は私はいくつだったの?と、ついこの前に話をしたばかりだ。
紀子先生、もちょっと私は探偵を頑張ります!
もしも調査に手抜きしたら天国から電話ください。
「あら~ それじゃダメでしょ!」って言われないように頑張っていきます。それが、私が先生から教わった一番大事な事です。
結果を出すのはプロの探偵は当たり前でしょ。依頼者にいつまでも寄り添う市民感覚を持ち続けなさい。とあの笑顔でやさしくてキツイ言葉が頭に浮かびます。
紀子先生、残念です!
本当に本当に本当にありがとうございました。